更生保護、近年の傾向や課題は 長崎保護観察所 古賀正明所長に聞く

「立ち直りは一人ではできない」と語る古賀所長=長崎保護観察所

 〈地域の関係機関と連携し更生に向け指導や支援をする長崎保護観察所(長崎市万才町)の古賀正明所長に、近年の傾向や課題を聞いた〉

 更生保護の対象者は以前と比べ高齢者や障害者といった社会的な弱者が増えた。周囲に相談者がいなくなると再犯してしまう傾向がある。更生保護には社会の理解と協力が欠かせない。
 保護観察所ができることに限界はある。民間人のボランティアである保護司、前歴がある人を雇用して更生に手を貸す協力雇用主、更生を女性の立場で支援する更生保護女性会、少年少女の自立を支えるBBS会と、多くの関係者・機関の支えで成り立つ。
 そのため保護司のなり手不足は大きな課題になっている。長崎保護区(長崎市、西彼杵郡)の保護司の定員は278人だが、今年6月時点で227人(充足率81.7%)にとどまる。(働く場の)再雇用が浸透した現代では、保護司の新任時の年齢制限66歳をクリアするのが難しく、地域のつながりが希薄になったため後任を見つけることも課題になっている。
 保護観察所は県などと連携し、再犯防止推進計画の策定に向け準備を進めている。本年度中に完了し、来年度から5カ年での運用を始める。関係機関と連携し、誰ひとり取り残さない切れ目ない支援を目指している。反省は一人でもできるが、立ち直りは一人ではできない。相談する人がいることが重要だ。


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