SBK第4戦:ホンダのバウティスタがレース2で3位表彰台を獲得。レイは2勝を挙げる

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第4戦アラゴンラウンドがスペインのモーターランド・アラゴンで行われ、ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が2勝を挙げた。また、アルバロ・バウティスタ(チームHRC)がレース2で3位フィニッシュし、ホンダとしては2016年以来のポディウム獲得を果たした。

■レース1:レディングが今季3勝目。ドゥカティがワン・ツーフィニッシュ

 レース1は、気温22度、路面温度36度のドライコンディションで行われた。ポールポジションはジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、2番手にロリス・バズ(テンケイト・レーシング・ヤマハ)、3番手にはスコット・レディング(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が並ぶフロントロウ。好スタートを切ったのはバズで、2番手にアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、3番手にレディングが続く。

 ロウズはオープニングラップで速くもバズを交わし、レイ、レディングもバズの前に出る。さらにレイがロウズをオーバーテイク。レイ、ロウズ、レディング、バズ、そしてマイケル・ファン・デル・マーク(パタ・ヤマハ・ワールドSBKオフィシャルチーム)の順で1周目を終える。

 4周目に差し掛かるころには、レイ、ロウズ、レディングのトップ3が4番手以下にわずかに差を築き、トップグループを形成。その4周目、レディングがロウズをオーバーテイク。レディングが2番手に浮上する。

 3番手に後退したロウズは、5周目の3コーナーで転倒。後続のライダーが続く中、コース上にマシンとともにロウズ自身が取り残される危険な状況であったが、ロウズは無事にコースサイドに避難し、アクシデントには至らずにすんだ。

 トップは依然としてレイ、2番手にレディングが約0.4秒差で続くなか、その約1.7秒後方の3番手にチャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が浮上した。4番手にはファン・デル・マーク、5番手にはマイケル・ルーベン・リナルディ(チーム・ゴーイレブン)が続く状況だ。

 8周目、レイの背後にぴたりとつけて追っていたレディングが、ついにレイをとらえた。トップに浮上したレディング。しかしレイも約0.2秒差で食らいつく。しかし、その差はほんの少しずつ、開いていく。

 その後方のポジションはそれぞれ単独走行の様相を呈していたが、チームHRCのアルバロ・バウティスタが、トプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハ・ワールドSBKオフィシャルチーム)を交わして6番手に浮上。約1.5秒前を走る5番手のリナルディを追う。

 一時は0.5秒ほどまで広がっていたレディングとレイとの差は、残り5周で再び約0.2秒を切るほどにまで縮まった。終盤のラップタイムとしても、レディングよりわずかに速いレイ。しかし残り4周、レイがラインを大きく外す。これによりレディングに離されたレイは、3番手のデイビスに接近を許すことになる。デイビスは残り3周、メインストレートの加速でレイの前に出ると、1コーナーの飛び込みでオーバーテイク。2番手に浮上することに成功した。

 レディングはそのままトップを守り、今季3勝目を挙げた。2位フィニッシュを果たしたのはデイビスで、Aruba.it レーシング-ドゥカティのふたりがワン・ツーフィニッシュ。レイは終盤にレディング、デイビスから離され、3位でチェッカーを受けた。

 4位はドゥカティ パニガーレR4 Vで戦うリナルディ。ヤマハのファン・デル・マークが5位、ラズガットリオグルが6位で続き、2番手スタートのバズは7位フィニッシュ。ホンダ勢としては、6番手走行中だったバウティスタが残り6周の5コーナーで転倒。リタイアとなった。レオン・ハスラム(チームHRC)は10番手、高橋巧(MIEレーシング・アルティア・ホンダ・チーム)は15位フィニッシュを果たし、2020年シーズン初のポイントを獲得した。

■レース2:バウティスタが今季自身初表彰台。ホンダは2016年以来のポディウム獲得

 翌日日曜のスーパーポール・レースは気温18度、路面温度26度のドライコンディションで行われた。好スタートを切ってホールショットを奪ったのはバズ。しかしすぐさまレイがトップを奪取。バズ、レディング、ロウズ、ファン・デル・マーク、そして6番手にバウティスタが続く。

 1周目の9コーナーではレアンドロ・メルカド(モトコルサ・レーシング)とトム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が接触し、メルカドが転倒。さらにメルカド自身がコース上に残されたが、後続のライダーとの接触は避けられた。このアクシデントについて、サイクスが審議の対象となった。

 6周目にはレディングが2番手、ファン・デル・マークが3番手に浮上する。2番手から後退したバズはその後、ロウズにもオーバーテイクされ、5番手にポジションを落とした。

 その5番手走行中のバズを、残り3周でバウティスタがオーバーテイク。バウティスタはさらに残り2周、メインストレートでロウズを交わし、4番手に浮上した。

 レイはトップを守り切り、独走でチェッカーを受けて今季6勝目を飾った。2位フィニッシュはレース1ウイナーのレディング。3位にはファン・デル・マークが入った。バウティスタは4位フィニッシュ。高橋は20位で完走を果たした。

 レース2はスーパーポール・レース同様にドライコンディション。気温は21度、路面温度は36度に上昇した。スーパーポール・レースで転倒を喫したメルカドは、左足首や首を痛め、レース2を欠場している。

 スーパーポール・レースの結果により、フロントロウにはポールポジションにレイ、2番グリッドにレディング、3番グリッドにファン・デル・マークが並んだ。ポールポジションからスタートしたレイは、ホールショットを奪い序盤からトップを走行。2番手にレディング、3番手にはファン・デル・マークが続き、さらに4番グリッドからスタートしたバウティスタがポジションをキープしてファン・デル・マークの後方4番手に続く。

 序盤からレイがレースをリードするなか、2周目にはレディングが後退。ファン・デル・マークが2番手、3番手にバウティスタがつける。4周目には4番手を走行していたデイビスがバウティスタ、さらにファン・デル・マークを交わして2番手に浮上。約2秒前を行くレイを追う。

 5周目、バウティスタがファン・デル・マークを交わして3番手に浮上。トップは依然としてレイがキープし、その約1.7秒後方にデイビス、デイビスの約0.4秒後ろに3番手のバウティスタが続く。レイは次第にデイビスを引き離していき、独走態勢を築く。

 一方、2番手のデイビスと3番手のバウティスタの差はわずか。そのふたりの約0.7秒後方にファン・デル・マークが続いていたが、10周目にレディングがオーバーテイク。レディングが4番手に浮上し、ファン・デル・マークは5番手に後退した。

 トップを独走していたレイだったが、残り5周の16コーナーでラインを外して膨らみ、2番手のデイビスとの差が縮まった。翌周の1コーナーで、デイビスがレイをオーバーテイク。しかしレイがすぐさまトップを奪い返す。再び2番手となったデイビスとレイとの差は、またしても開いていく。

 レイはそのままトップでチェッカー。アラゴンラウンドで2勝を挙げて、今季7勝目を飾った。レイはレース1の結果でチャンピオンシップのランキング2番手に後退したが、この勝利により再びランキングトップに浮上している。

 2位にはデイビスが入り、レース1に続く今大会2度目のポディウム獲得。そしてホンダのバウティスタが3位表彰台を獲得した。バウティスタ自身として今季、チームHRCに移籍して初めての表彰台。さらにホンダとしても、2016年シーズンのフランスラウンドでファン・デル・マーク(当時の所属はホンダ・ワールドスーパーバイク・チーム)が獲得した2位以来のポディウムとなった。

 4位はレディング、5位にリナルディが入り、ファン・デル・マークの6位がヤマハ勢としては最上位となった。チームHRCのハスラムは7位フィニッシュ。高橋は18位でレースを終えた。

 また、スーパースポーツ世界選手権(WSS)に参戦する大久保光(Dynavolt Honda)は、レース1で17位、レース2で15位フィニッシュを果たしている。スーパースポーツ世界選手権300(WSS 300)に参戦する岡谷雄太(MTM Kawasaki MOTOPORT)は、レース1では2周目の12コーナーで転倒。レース2は2周目の9コーナーでクラッシュを喫し、2レースともにリタイアとなった。

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