『帰ってきた民主党?』政界再編って?(オフィス・シュンキ)

8月19日に「国民民主党」が解党した上で、「立憲民主党」と合流新党を結成する方針を決めて以来、安倍晋三首相の辞任表明もはさんで、政局が大きく動き出しました。私自身、都道府県レベルの議員として、「野党再編」に身をもってかかわった経験も踏まえ、この10年ほどの動きと今後の予想される流れをみてみます。

「政界再編」。政党同士が合流することなどで、政治を刷新しようとする動きなのですが、2009年の総選挙で約10年続いた自由民主党(以下「自民党」)と公明党の連立政権に代わって、民主党が政権を握った頃から、「自民党」と「民主党」に対抗しうる「第3極」構築を目指して、2009年結党の「みんなの党」や2012年にできた「日本維新の会」(現存の同名の政党とは異なります)などが、活発に動きをみせました。肩書がなくても多くの国民に名が知られている政治家の石原慎太郎氏、橋下徹氏、渡辺善美氏、小沢一郎氏、江田憲司氏らが代表となる形で、新興政党が離合集散を繰り返しました。

これらの動きの結果、2015年秋からの「維新の党」(「日本維新の会」と「結いの党」の合流政党)の分裂の際、片方の合流先となった「民主党」が2016年3月に「民進党」となるなど2大政党にも直接的な影響が出ます。その流れは止まらず、2017年10月の総選挙直前、「民進党」の当時の前原誠司代表が、東京都知事だった小池百合子氏を代表として結党されたばかりの「希望の党」への合流を提案、議員総会で了承されます。しかし、小池氏の「排除します」の、民進党一部議員の合流を認めない発言に反発した枝野幸男氏が「立憲民主党」を結党して総選挙に臨むことになります。

2017年、民進党代表選挙の共同会見に臨む前原誠司氏(右)と枝野幸男氏  (c)j-castニュース

こうして事実上「民進党」分裂の中で行われた2017年秋の総選挙は、「自民党・公明党の連立与党、「希望の党・日本維新の会」の保守系野党、「共産党・立憲民主党・社民党」の左派野党の「新三極」というべき形で行われ、連立与党の圧勝と改選前の15席から55席と勢力を伸ばし野党第1党となった立憲民主党の存在感が際立った結果となりました。

2018年5月には、「民進党」が党名を「国民民主党」に変更、「希望の党」が「国民民主党」合流組と残留組に分かれる形となります。そして、2020年8月に、「国民民主党」と「立憲民主党」が合流新党結成を決めた、というのが、大まかな流れ、となります。そして、この5年間ほどの「野党再編」の流れは、まさに旧「民主党」が政党離合集散の核だったことも、お分かりいただけると思います。「帰ってきた民主党」と揶揄されてしまうのも、この目まぐるしい動きでは致し方ない部分もあるのではないでしょうか?

私も「野党再編」に端くれながら、かかわったといえるのは、2012年の衆議院選挙で公認証をいただいた際(結果的に「出馬辞退」)、代表者の名前は石原慎太郎氏、次いで、2015年2月に都道府県議会の選挙に出馬した際(当選)の代表者名は江田憲司氏。どちらも、政党としての流れとしては同じですが、党名も代表も変わっています。そして、今回の「野党再編」に係わる可能性があったのは、議員だった2015年の晩秋です。所属の国政政党が分裂することになり、のちに私自身、加わる政党を選択する方法とともに、もうひとつの選択肢として残留し、のちの「民進党」への合流を提示されました。

その際に、当時所属していた地域政党の幹事長に、「民主党の流れの方に、君の場合は行ったほうがいいと思う。次の選挙(2019年春)を考えたら、選挙区事情ではそうだ」とアドバイスされたのを覚えています。理念の違いなどもあり、そのアドバイスには従いませんでしたが、「当選」だけを考えたら、そのアドバイスが間違いであった、とは言えないです。次の選挙に私は出馬していませんし、アドバイスに従わなかったこともあり、「希望の党」「国民民主党」「立憲民主党」といった「野党再編」の渦は、経験せずに終わりましたが。

安倍首相辞意の報道を受けて、記者の質問に答える玉木雄一郎氏 (c)国民民主党

今後の流れですが、江田憲司氏が合流新党への参加意向であることを表明していますが、合流新党へ参加しない意向を明らかにしている「国民民主党」の玉木雄一郎氏、前原誠司氏、山尾志桜里氏らの動向も注目されます。山尾氏は自身のツイッターで、玉木氏につくことを表明していますが、そこで「政策提案型の中道政党が本当に必要」と訴えています。同時に、「れいわ新選組」の山本太郎代表と会合するなど、目の離せない動きもみせています。前原氏も自身のツイッターで、「共産党と協力する政党にはいきたくない」「(憲法観、外交など)考え方が全く違う政党と協力する野党共闘に与することはできない」と考え方を明確に表明しています。

玉木氏と前原氏のふたりは、政治理念で共通するところが多いこと、などから、「日本維新の会」により接近することは想像に難くないものがあります。地元が玉木氏は香川県、前原氏は京都府京都市。四国も京都も、「日本維新の会」にとって、本拠地・大阪に近い場所ながら、勢力の伸び悩みが課題とされている地でもあります。「今の状況を打破していくのに、前原さんが、なんらかの形で加わってくれるのはありがたいです」と、ある「日本維新の会」関係者もいうように、成り行きを他人事でなく見守っている、というのが現状のようです。(オフィス・シュンキ)

 

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