不動産投資成功の秘訣、「業者とうまく付き合う」方法は?

東条駿介さんは株と不動産投資で資産を2億円超に増やした兼業投資家です。前回に引き続き、コロナ禍で先行き不透明な状況における不動産投資のリスクと今後の戦略について聞きました。


ワンルームはそれほど手間がかからない

――これから不動産投資をはじめる場合、どんな物件から始めるのが良いと思いますか?

不動産投資の手法は様々で、これという正解はありませんから、自分の性格に合うかどうかが大事だと思います。株を例にすると、安定して持てる大型株を好む人がいれば、値動きがある小型株や外国株を専門にしている人もいます。

不動産も同じで、新築や築古、都市部や地方などさまざまな物件があり、事務所や倉庫などを買っている人もいます。私の場合は、リスクを抑えながら利回りが良い築浅のワンルームをコツコツ増やしていくのが性に合っていました。

区分所有はスモールスタートですから、これから不動産投資を始める人が勉強しながら投資できるのが良い点だと思います。

物件数が多いため始めやすいですし、客づけや管理が大変というイメージがあるかもしれませんが、私の印象として、思っていたよりも放ったらかしです。勝手にローンが引かれ、勝手に家賃が入ってきます。

利回りと買い値に妥協しなければ、ミスが少なく、手堅い投資かなと思います。

――物件探しは不動産屋さんに頼むのが良いですか?

会社員や公務員の場合は物件探しに使える時間が限られますので、頼んだ方が良いと思います。

また、不動産はそれなりの専門知識がいります。融資を受ける際のローンの段取りや、物件購入後の客づけを任せられるといった点でも、不動産屋に頼むほうが良いですよね。

言い方を変えると、物件探し、金融機関探し、借り手探しを任せられる3拍子揃った不動産屋を見つけることが大事だということです。

――不動産屋さんとうまく付き合うコツはありますか?

結局、コミュニケーションなのだと思います。不動産屋の営業担当者も人間なので「買ってくれそうだ」と思う人に良い物件を紹介します。利回りが低かったり価格が高い場合は、金利が安い金融機関を探してくれるなど、条件面でも色々と配慮してくれます。

コミュニケーションは得手不得手があるでしょうが、「買いたい」という意思を持ってこちら側の希望をきちんと伝えれば、しっかり付き合ってくれると思います。

私が不動産投資を始めたばかりの頃は『ナニワ金融道』に出てきそうな格好の人ばかりでしたので、値下げ交渉したら怒鳴られるのではないかという恐怖もありましたけど(笑)。

いずれにしても、契約したらそこで決まりです。嫌われようが怖かろうが、安く買い、安く融資を受けることにはしっかりこだわって付き合うのが良いと思います。

長く住んでくれる人を探す

――不動産投資のリスクについてはどう考えていますか。

私は幸い、粗悪な物件をつかまされたり、未払いの入居者が居座ったり、事故物件になるといったことはありませんでしたが、3室くらいしか持っていないときに2室が空室になった時はストレスでした。空室リスクをゼロにする魔法はないので、そこは受け入れないといけないでしょうね。

ただ、対策できないわけでもありません。

空室リスクを抑える方法の1つは、長く住んでもらうことです。つまり、退去しそうな人を避ければ良いわけです。

例えば、一般的には「大学生は親が保証してくれるから安心」とか「若い女性は部屋をきれいに使ってくれるから良い」などと言われます。しかし、大学生は卒業した時に退去する可能性が高いですし、若い女性は結婚して退去する可能性があります。

そう考えると、極論としては、見た目が良い若い女性よりも、ずっと結婚しなさそうなおじさんが20年くらい住み続けてくれる方が良いのです(笑)。

――たしかにそうですね(笑)。入居者を確保する方法については何かコツはありますか?

私は客づけも行っている不動産屋から買うことが多いので、営業担当者に頑張ってもらいます。例えば、入居者を見つけてくれたら焼肉に連れて行くとか、頑張ってもらうために株の優待でもらった食事券をあげるといったことはすぐにできますよね。

人は誰かに何かしてもらうと、お返ししなければと思うものです。物件の案内方法は営業担当者がそれぞれ考え、決めていますので、私の物件の質がいまいちだったとしても、条件が悪いところを先に見せてから私の物件を案内してくれれば、借り手はつきやすくなります。そういう頑張りを期待する上で、焼肉代は経費みたいなものなのです。

そういう作戦は入居者の退去を防ぐ時も使えます。

例えば、借り手が事業者の場合はお中元とお歳暮を送っていれば、なんとなく「更新しようかな」という気分になってくれるものです。不動産屋に更新手続きを頼むなら、「本当は相場的に家賃を値上げしたいけど、長く住んで欲しいので据置きます」と入居者に伝えてもらえば、出て行きづらくなるでしょう。

――そこもやはりコミュニケーションなのですね。

そうですね。家賃を下げて入居者を探す方法もありますが、入居者の属性が下がりがちです。できるだけ家賃は下げずに入居者を確保したいですよね。

ただ、それでも空室リスクはゼロにはなりません。私の場合、25平米くらいの部屋で「着付け」の教室をやっている人が入居したことがあったのですが、商売が繁盛し、手狭になって退去してしまったことがありました。別の物件では、両親が保証人になっている新入社員の女性が入居してくれたのですが、半年もしないうちに結婚して退去してしまったことがあります。

商売繁盛も結婚も嬉しいことなのですが、こちらは空室になるので複雑な気持ちですよね。

買うための準備と計画が大事

――今後はどのように投資していく予定ですか?

手持ちの物件は2019年までに全て売ってしまったため、現在は手持ちがゼロです。本来は、東京五輪後に売り物件が増え、価格が下がったタイミングで買い戻そうと思っていたのですが、コロナの影響で予定が変わってしまいました。

ただ、再び買っていく気持ちはあって、いまは不動産屋を当たりながらコツコツと物件探ししている状態です。

――本業がある場合、物件探しの時間を作ることに苦労しそうですね。

そうですね。私の場合は平日の夜と土日が物件探しの時間です。あとは、スマホ、タブレット、ノートPCなどがありますから、通勤時間も使っています。

――地道なリサーチが大事なのですね。

そう思います。カリスマ大家と呼ばれるような人も株の世界で億稼ぐトレーダーも、記事などでは「運と勘で成功しました」と言うことが多いのですが、実際はものすごく努力しています。どの世界でもお金を稼ぐのは簡単ではありませんよね。稼いでいる人たちの場合は、地道なリサーチが生活の一部になっていて、本人が「努力している」と感じていないから「運と勘です」と言うのかもしれませんが。

一方で、兼業の人には強みがあります。それは自由に休めるということです。

忙しい時や体調が悪い時に物件情報などを調べるのは大変です。そういう時、専業の人は休めば休むほど貯蓄が減っていきますが、兼業は本業の給料があります。自分のペースでリサーチできるのは大きな強みだと思います。

――不動産投資ビギナーの勉強法としてはどんな方法がお勧めですか?

私が不動産投資を始めた時は、アマゾンの不動産投資関連の書籍でトップ10に入っているものをとりあえず全部読んでみました。営業の人と話すことにそれほど抵抗がなければ、不動産投資や金融機関の説明会に行ってみるのも良いと思います。大家の会とか不動産投資のオフ会に参加して、人脈と知識を増やすのも良いですよね。不動産投資は、今日やろうと思って来月買うような短期の投資ではないので、助走としてじっくり勉強していくことが大事だと思います。

それともう1つ重要なのが、投資計画を立てることです。

私の場合は、体を壊したりリタイアするかもしれないなどと考えて、40歳から1年に1室ずつ買っていき、50歳から1室ずつ売っていくような20年計画をイメージしていました。実際にその通りになるかは別として、自分がどんなふうに不動産投資と付き合っていくか考えておくことは大事です。

とくにローンを組んで買おうと考えている場合、会社員は定年に近づくほど審査に通りづらくなります。その点でも、何歳で買い、何歳でいくつくらい持つかなどはあらかじめイメージしておくと良いと思います。

(次回は株式相場の今後と戦略について聞きます)

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