中国の尖閣領海侵入…日本は打つ手なし?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。8月19日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士ドットコムGMで弁護士の田上嘉一さんが“中国の尖閣領海侵入”について述べました。

◆中国の領海侵入に対し、やりようがない日本

中国が沖縄県尖閣諸島の周辺を含む東シナ海で設けた休漁期間が8月16日に終了。東シナ海に面する福建省石獅市の漁港では、多くの漁船が黒煙を上げ、爆竹を鳴らして続々と出港しました。日本政府は中国政府に「中国漁船が大挙して尖閣周辺に来ると日中関係は壊れる」と警告。動向を注視しています。

近年の1~7月における中国公船等の領海・接続水域への侵入状況を見ると、2020年は非常に多かった2019年を遥かに上回り、特に4月14日~8月4日までの111日間は連続で侵入。これは習近平氏の来日延期決定後から始まり、尖閣諸島国有化宣言以降としては最長で、さらに8月18日には潜水艦が航行。田上さんは「日本は憂慮し、抗議しているが(中国は)なかなかやめてくれない」と現状を語ります。

領海や接続水域に侵入しているにも関わらず、なぜ追い出さないかといえば、「国連海洋法条約上、領海と接続水域は無害通航が許されている」から。「中国の船が本当に無害なのか」という議論の余地はあるものの、田上さん曰く、尖閣諸島は自国の領土だから通行は問題ないと中国側は主張していると言います。また、日本の漁船が追い回されることもしばしばで、そこに海上保安庁が出ていったとしても彼らは騒動を起こすことが狙いなだけに、「現状維持、領土問題はないと言っている日本側としてはやりようがない」と田上さんも困惑の様子。

◆中国の狙いは戦争!? 今後日本はどうするべき?

中国では新型コロナの影響で延期となっていた「全国人民代表大会(全人代)」が5月に開催されましたが、そこで変更された法律が非常に注目されているとか。特に、中国では軍隊と警察の間と言われるものの戦力的・武装的には軍隊に近い「人民武装警察」が日本の海上保安庁にあたる「海警」に入っており、今回の法改正で「武器使用が十分可能になった」と田上さん。その上、有事の際には軍隊のさらに上にある組織「中央軍事委員会」の指揮下に入ることになり、「これは完全に軍隊と一体化してきているということ」と危機感を募らせます。

中国の海警は沿岸警備隊の部類のなかでは最大の船と大きな機関砲が付いた船を数多く持ち、人員も豊富で「世界最強」という声も。そんな海警に対する日本のカウンターパートは海上保安庁ですが、人手不足の上に海上保安庁法25条で「軍隊ではない」と規定されている彼らでは「物量的には勝てない」と田上さんは言います。

そうなると、もはや海上保安庁ではなく自衛隊が対処すれば良さそうですが、そこにも大きな問題が。「キャベツ作戦」というものがあり、それは中国の漁船に対し海上保安庁が出て、中国から海警、そして日本から自衛隊が出動となった場合、「中国は(日本が)戦争する気なのね、となる。中国はそれを狙っている」とその策略を紐解きます。

しかも、軍事力的には中国のほうが圧倒的に強いだけに、日本としては「海上保安庁の強化を一定程度やっていかなくてはいけない」と田上さん。さらには、アメリカ・イギリス・インド・オーストラリア、ASEAN諸国なども中国の動きを憂慮しているだけに、「連携を強めていくこと。じわじわと包囲網を作っていくしかない。武力衝突はとにかく避ける、穏便に済ませたい」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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