油断ならない9月

 語呂合わせだが、きのう8月31日は「831」で「野菜の日」だった。不足しがちな野菜を取りましょう、と呼び掛ける日で、近年はこの時期に、親子の食育教室も開かれる▲7月の長雨、日照り不足で、レタスにキャベツと葉物を中心に高値が続いている。一方で、もう何十年も家庭菜園に精を出す身内によれば、キュウリやオクラ、ゴーヤーは今になってよく育つらしい▲生育の盛んな作物もある「野菜の日」だったが、きのうはまた、立春から数えて210日目、雑節の「二百十日」でもあった。言い習わしでは台風に襲われることが多く、農家には厄日とされる▲本来はこれからが台風の季節だが、今ちょうど、大型の台風9号が南から九州に近づいている。実際に作物のことが気掛かりな二百十日になった▲振り返れば、7月は熊本南部の豪雨、月末まで明けない長い梅雨-と「水の月」だった。8月は過去の戦火をとりわけ思う頃であり、お盆の迎え火、送り火、灯籠、花火、それに猛烈な炎暑-と、五輪の聖火がともされないのを差し引いても「火の月」だったろう▲9月は台風接近に始まり、きょう1日は関東大震災が発生した日にちなんで「防災の日」。「火」から新涼の「風」へ、季節はやがて移るとしても、作物に限らず厄災には油断ならない。(徹)

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