台風9号に備え 長崎県内4ダム、初の事前放流 対馬と五島で

 台風9号の影響で激しい雨が予想されるとして長崎県は31日、対馬、五島両市内の4ダムで、利水関係者や関係市町と結んだ治水協定に基づき、河川の氾濫などを防ぐため事前放流を始めたと発表した。県内では初めて。
 事前放流は大雨が降る前に放流してダムの空き容量を増やし、洪水の危険性を低減させる措置。各ダムごとに定めた基準を気象庁の予報雨量が超える場合に、水道や農業用の貯水を3日前から河川に流す。県は8月中旬までに、県内の36水系44ダムで事前放流が可能になる協定を締結した。
 事前放流したのは、対馬市の目保呂ダム(治水ダム)と、五島市の川原、繁敷、浦の川の3ダム(いずれも農水ダム)。繁敷ダム以外は基準を超えない予報だが安全を考慮した。
 県によると、4ダムの事前放流量は毎秒0.5~2トンで、河川が急激に増水する危険性はないという。県河川課は「必要な事前放流を確実に実施し、災害の防止、軽減につなげたい」と話している。
 国は昨年12月、近年増加する豪雨災害を受け、既存ダムの洪水調節機能強化に向けた基本方針を策定。今年4月に事前放流のガイドラインを示した。

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