【MLB】88球のうち半数近い42球 田中将大を今季初勝利に導いた「キーになった」球種とは?

本拠地でのレイズ戦に先発登板したヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

田中の武器と言えばスプリットだが、この日効果的だったのは…

■ヤンキース 5-3 レイズ(日本時間2日・ニューヨーク)

ヤンキースの田中将大投手は1日(日本時間2日)、本拠地でのレイズ戦で今季6度目の先発マウンドに上がり、今季初勝利をあげた。今季最長となる6回88球を投げて3安打2失点7奪三振と好投。頭部打球直撃を乗り越え、6度目の登板で白星を掴み、田中自身も「間違いなくこれからいい方向にいってくれると思う」と語っていた。

4回までレイズ打線をわずか1安打に封じて無失点を続けた田中。5回にキアマイアーに右翼アッパーデッキまで運ばれる2ランを被弾して2点を失ったものの、自身今季最長となる6回のマウンドにも上がり、この2点のみに抑えた。6回3安打2失点、7個の奪三振を奪う好投だった。6回の攻撃で味方打線が勝ち越して、田中は白星を手にした。

田中の武器と言えば、150キロを超える真っ直ぐと鋭く落ちるスプリット。だが、この日の初勝利を支えたのは、もう一つの武器の「スライダー」だった。田中自身が試合後「間違いなくキーになったボールはスライダーでした」と語り、アーロン・ブーン監督も「スライダーがとても良かった。左打者に対して内角にも外角にもスライダーを効果的に使えていた。効果的な形だった」と語っている。

この日投じた88球のうち、田中はスライダーをほぼ半分の42球を投じている。奪った7つの三振のうち、5つは決め球にスライダーを選んだ。「今日はスライダーがいい方で、その中でいろんな変化させながらっていうのはありました」と語り、それぞれで少しずつ変化を変えつつ、レイズ打線を翻弄。「スプリットがいまいちだったんで、スライダーが増えるのは自ずとそうなっていくのかなと思います」と、本調子ではないスプリットをカバーするのに十分な威力を発揮した。

今季初勝利に安堵した田中「勝ってもちろんうれしい」

「数が増えるっていうのはいいんですけど、僕はスライダーピッチャーだし。使い方、使う場面というを全部の球が効果的になるように工夫していかないといけない。そこをどうバランスよく投げるか」とも、田中は口にしていた。

「勝ってもちろんうれしいし、自分に勝ちもついた。今年はシーズンもシーズンだし、開幕を迎えるに当たっての自分の状態も特殊だったので、慌てずに行こうっていうのはあった。試合数はかかったかもしれないですけど、間違いなくこれからいい方向にいってくれると思う。今回前回といい投球続けられたので、さらに上目指してゲームに入っていきたいと思います」

ようやく今季初勝利を掴み、安堵の心境も明かした田中。スプリットが本来の姿にない中で、スライダーを軸に組み立てたこの日の投球は、6年連続で2桁勝利を重ねてきた右腕の経験と引き出しの多さが現れていたとも言えるだろうか。(Full-Count編集部)

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