「五竜号」の機体破片探索 ピンセットやエンジン部品… 土中から30点発見 諫早・高来「あけぼの会」

墜落地点周辺で発見した機体の破片や部品などを見る会員=諫早市

 第2次世界大戦中、諫早市高来町古場の五家原岳中腹に軍民共用航空機「五竜号」が墜落した史実を伝えようと、同町の旧青年会OBでつくる「あけぼの会」(吉田壽博会長、26人)が8月31日、墜落地点周辺で機体の破片を探索。戦後75年の節目に合わせ、会員15人が慰霊碑前で犠牲者に祈りをささげた。
 「五竜号」は当時の大日本航空に所属し、旧陸軍が借り上げていた。1944年2月12日、台湾から福岡の飛行場に向かう途中、五家原岳に墜落。軍人7人と乗員5人が死亡し、碑は68年9月、地元の山林組合が建立した。
 同会は昨年秋から、林の中にある碑周辺の除草や案内板を設置。戦時中の歴史調査に取り組むPOW研究会福岡によると、機体は三菱製97式重爆撃機21-2で、エンジンが機体の左右に2基あったという。軍民共用航空機は戦時中、中国やアジア各国と日本を結ぶ役割があり、墜落した「五竜号」には軍幹部の司政長官が搭乗。雨で視界が悪く、五家原岳に激突したとみられる。
 破片探索は昨年秋に続き2回目。会員たちは碑の下の急斜面に下り、土中に埋もれている機体関連の金属片やガラス片を金属探知機で探した。発見したのは、ピンセットやエンジン関連の小さな部品破片など約30点。
 あけぼの会は本年度、市の地域づくり協働事業として、発見した破片の調査報告や平和講演会を計画していた。しかし、新型コロナウイルス感染の影響で、会員限定の活動に縮小。今後、発見した破片の用途を調査し、まとめる計画。

金属探知機で土中の破片などを探すあけぼの会会員=諫早市高来町

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