登山シーズン前に山岳救助訓練 美作市消防本部と美作署

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けが人を救助する救急隊員と美作署員。ヘリコプターから捜索できるよう発煙筒をたいて位置を知らせた=8月26日、美作市後山

 秋の登山シーズンを前に、美作市消防本部と美作署は8月26日、合同の山岳救助訓練を同市東粟倉地域の船木山(1334メートル)で実施した。危険と隣り合わせの訓練に記者(25)が同行。過酷な状況で救助に当たる人たちへの敬意を抱くとともに山の怖さを実感した。

 2人が負傷し、身動きが取れなくなっている―という想定。救急隊員約20人と署員約10人が隊列を組み、午前9時半、標高730メートル付近から出発した。

 険しい山道をハイペースで進んだ。この日の美作市は午前中から30度を超え、10分ほど歩いただけで息苦しくなる。救助隊に付いていくのがやっと。「きつかったらすぐ言ってください」と気遣ってくれる隊員の言葉が足を持ち上げる力になった。

 およそ30分歩き続け、1000メートル付近で2人を発見。救急隊員は容体確認やけがの応急手当て、署員は事故現場の保全などに当たった。隊員と署員はヘリコプターへの引き上げ地点まで協力してけが人を担架で運んだ。上空から容易に発見できるよう、発煙筒をたいた。

 登山道にはこぶし大の石が転がり、バランスを崩して蹴った石が崖下に落ちていく。沢でぬかるんだ場所もある。足を滑らせれば崖から落ちてしまいそうだ。記者は那岐山(奈義町)や後山(美作市)にも登ったが、整備された道ばかりではなかった。登るたびに山の怖さを思い知る。決して山を甘く見てはいけないと改めて感じた。

 市消防本部によると、毎年、山岳救助の出動が2、3件ある。今年は後山を登山中の県外の男性1人が死亡している。不測の事態に備え、市東粟倉総合支所は今年から、任意の登山届用紙を船木山の登山口などに設置。名前や登山ルートを記入してもらっている。

 美作署地域課企画指導係の田淵崇裕係長(39)は「実際に山に入ることで救助方法の知識が生かせ、現場での役割が確認できた」と振り返り、市消防本部大原出張所の万殿貴行所長補佐(44)は「有事は今回より少人数で、力を合わせなければいけない場面が多くなる。今後も連携強化に努めたい」と話した。