フランク・ウイリアムズとクレアがチームを離脱、43年の家族経営に幕。チームは新オーナーのもとで継続

 ウイリアムズF1チームの創設者でありチーム代表のサー・フランク・ウイリアムズと副代表クレアが、今週末の2020年第8戦イタリアGPの後、チームから去ることが明らかになった。ウイリアムズは創設以来家族による運営がなされてきたが、アメリカの投資会社ドリルトン・キャピタルへの売却が決まったことを機に、ウイリアムズ家はチームから離れるという決断を下した。チームは今後もウイリアムズの名称でF1活動を続けていく。

 フランク・ウイリアムズは1977年にパトリック・ヘッドとともにチームを創立、これまでドライバーズタイトルを7回、コンストラクターズタイトルを9回獲得という素晴らしい成績を収めてきた。

1997年ジャック・ビルヌーブがウイリアムズFW19でタイトルを獲得

 2013年からはフランクの娘クレアがチーム副代表として日々の業務を担ってきたが、近年では成績は低迷し、2018年と2019年にはコンストラクターズ選手権で最下位に落ちており、経営不振に苦しんでいた。ウイリアムズ家はチーム存続のために売却を決断、8月21日にドリルトン・キャピタルへのチーム売却が発表された。

 それから約2週間後の9月3日、チームはウイリアムズファミリーがイタリアGP後にチーム運営およびF1から退くことを発表した。クレア副代表は、チームの長期的将来が確保された今が、退く適切なタイミングであると考えたという。

「チームの将来が確保され、今が私たちがこのスポーツから退くのに適切なタイミングであると感じます」とクレアはコメントした。

「私たち家族は、常にウイリアムズチームを優先してきました。戦略的再検討のプロセスに関する最近の行動でも、それは明らかだと思います。このチームを将来に導く機会を新しいオーナーに託し、このチームを統制する力を引き継ぐ、適切なタイミングは今であると確信しています」

「ドリルトンが続けるよう勧めてくれたことに深く感謝しています。ですが、彼らのもとでこのチームが安泰であり、ウイリアムズの名前が生き続けることは分かっています。これが家族経営のチームとしてのウイリアムズの時代の終わりかもしれませんが、ウイリアムズ・レーシングとしての新しい時代の始まりです。彼らの今後の成功を心から祈ります」

「フランクとウイリアムズ家を代表し、パドックの友人たちから世界中の多数のファンにいたるまで、私たちを長年サポートしてきてくれた人たちに心から感謝します。中でも一番感謝の気持ちを示したい相手はチーム、つまり、過去および現在、ウイリアムズで働いてくれた人々です。彼らはこのチームの真の戦士であり、彼らが今のチームを築き上げてくれました。彼らの幸運を祈ります」

「F1は長年私たちの人生でした。今私たちは自分の人生の新しい章を始める時を迎えたのです」

2020年F1第7戦ベルギーGP ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)

 ドリルトン・キャピタルおよびウイリアムズ・グランプリ・エンジニアリングのチェアマンを務めるマシュー・サベージは、フランクおよびクレア・ウイリアムズへの感謝の言葉を述べるとともに、「ウイリアムズの名称をこのスポーツの次なるエキサイティングな時代へと引き継いでいくことを誇りに思う」として、チーム名称を変更しない旨を明らかにした。

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