置き土産を

 「ポスト安倍」を巡る動きと、長期政権の検証企画で混雑が続くこのところの総合面だが、小さくても見逃せないニュースは多い。3日付には〈地方大学の魅力向上策を検討する有識者会議が初会合〉の記事があった▲若者の地元定着を促すため、地方の国立大の定員増員を目指すという。会合では、研究開発の充実に向けた予算措置の必要性を訴える声も上がったようだ▲進学や就職に伴う若者の流出が止まらない本県。地元の大学の受け皿が広がることは大歓迎だ。新型コロナ流行の副産物として指摘される地元志向、地方志向の流れにもぴったり▲ちなみに長崎大の新入生の“地元シェア”は例年、4割程度と聞く。増員分が他県の出身者で埋まる可能性もあるが、それは、初めて親元を離れて暮らす「第2のふるさと」に長崎を選んでくれる若者が増えること。どちらに転んでも悪い話ではない▲議論の音頭を取るのは、衆院長崎4区選出の北村誠吾地方創生担当相。「桜を見る会」を巡るでたらめな公文書管理のとばっちりで矢面に立たされた印象が強いが、本筋の所管はこちら方面▲政府の地方創生戦略は年末に改定予定。仮に道半ばの交代となればさぞ心残りも-と拝察するが、地方の視点を生かした次期政権への宿題と置き土産を期待しておきたい。(智)

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