平和願いバラ育てる 長崎・聖母の騎士高

「アンネのバラ」について崎浜校長(左)に質問する生徒たち=長崎市、聖母の騎士高

 長崎市本河内2丁目の聖母の騎士高(崎浜宏美校長、27人)の花壇で、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺の犠牲となったアンネ・フランクにゆかりがある「アンネのバラ」と、同校の設立者、コルベ神父の名に由来する「セント・コルベ」が育てられている。被爆・終戦75年の今年、同校は平和への願いを込めてこれらのバラを増やし、校外へ広めるプロジェクトに乗り出した。
 「アンネのバラ」はアンネが家族と身を潜めたオランダ・アムステルダムの隠れ家に咲いていたバラに由来。同校によると戦後、隠れ家を訪れたベルギー人がバラの種を持ち帰り、新品種を育て、アンネの父親に贈ったという。
 1972年、アンネの父親は交流があった聖イエス会(京都市)の合唱団にバラの苗を寄贈。聖イエス会の創立者、大槻武二牧師と聖母の騎士修道院の修道士が親しかったことから85年、バラの苗が贈られた。その数年後、アンネのバラの改良種「プレイ(祈り)」の突然変異として生まれた「セント・コルベ」も植えられた。バラは計約10株。十数年前から崎浜校長が管理を引き継ぎ、大切に育ててきた。
 8月26日、同校。プロジェクトの初回として、生徒たちはアウシュビッツ強制収容所で死刑を宣告された男性の身代わりになったコルベ神父の生涯や、「アンネの日記」につづられたアンネの思い、バラの育て方などを学年別に調べて発表し、平和への思いを深めた。今後は専門家からアドバイスを受け、12月からバラを増やす挿し木に取り組む。挿し木したバラが花を咲かせるのは、1年生が3年生となる2022年春になる見込みで、市内の中学校などに声を掛け、寄贈先を決めていく。
 1年生の野間口太一さん(15)は「平和の大切さを多くの人に知ってもらえたら」と抱負。2年生で生徒会長、後藤勇稀さん(17)は「受け取った方々が希望を持てるよう、しっかりと育てていきたい」と語った。

「アンネのバラ」(同校提供)
「セント・コルベ」(同校提供)

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