センバツ、ダブル出場へ 長崎県勢の挑戦<上> 同一県から2校、九州で唯一経験なし

長崎県の選抜出場校

 来春の甲子園出場校の選考資料となる九州地区高校野球県大会が19日~10月18日、県内3会場で行われる。今年は上位2校が進む九州大会(10月31日~11月5日)も長崎で開催。そこで4強に入れば、九州4枠の選抜大会出場が有力となる。県勢は過去のセンバツで九州で唯一、同一県から2校選ばれる“ダブル出場”がない。これまでの歴史を振り返り、悲願に向けた課題や現状、可能性を探った。

 コロナ禍で中止された今春を含め、これまでのセンバツ92大会のうち、県勢が出場したのは25大会。夏の甲子園より狭き門とはいえ、決して多い数ではない。県内の競技熱を高め、本命の夏や次世代へつなげていくには、春の甲子園で「長崎」が存在感を示すことが重要になる。
 九州勢のセンバツ出場大会数は福岡が断トツの1位で67大会、熊本42、鹿児島38、沖縄32、長崎と宮崎が25、大分23、佐賀13大会と続く。このうち、福岡は14、熊本と大分は5、鹿児島3、沖縄、宮崎、佐賀は2大会で2校同時出場を果たしている。
 2001年からは過疎や部員不足の厳しい環境下での活動、地域貢献などが評価される「21世紀枠」(現在全国3枠)が導入された。公立校を中心に九州4強を逃しても県上位の力があればセンバツへの道が開け、ダブル出場の可能性も広がった。だが、この枠でも長崎は、九州で福岡とともに選ばれていない。
 新チーム始動から間もない秋に結果を出すのは難しい。春や夏の甲子園に出場したことがある指導者たちも「秋は経験値がないと勝てない。早い段階から1、2年生主体のチームが実戦を積めたところが強い」「センバツ出場はもちろん狙うが、夏に向けた育成を重視する中で、結果的に勝てればという感じ。あくまでも秋は土台づくり」などと苦労を口にする。
 それでも現在は、秋や春の県勢の印象は以前に比べると悪くない。06年のセンバツで清峰が春夏通じて県勢初の甲子園準優勝。09年春はエース今村猛を擁して日本一に輝いた。その後は創成館の台頭もあり、少なくとも2年に1度は秋の九州大会を突破してセンバツに挑み、16年は海星、18年は創成館がそれぞれ全国8強入りした。
 夏は38勝65敗と大きく負け越している県勢の全国戦績も、春は27勝23敗と勝ち越している。大崎と創成館が出場した昨秋の九州大会は、ダブル出場の可能性を十分に感じさせた。同時に他県の現状と比較して、課題も浮き彫りになった。

 


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