WRCエストニア:トヨタ、ドライバー&メーカー選手権首位を堅守も「満足していない」とマキネン代表

 WRC世界ラリー選手権は9月6日、競技最終日となるデイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合3位表彰台を獲得。僚友のエフリン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)が総合4位、カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合5位で、それぞれラリーを完走した。

 WRCイベントとしては初開催となったラリー・エストニアの最終日は6本のSS、計84.94kmで争われた。このデイ3は前日までとは異なり昼間のサービスがなく、大幅なセッティング変更や修理は行えない。またタイヤに関しても朝装着または搭載したセットのみで走ることが求められる。

 そんな競技最終日、首位と28.7秒差の総合3番手につけるオジエは午前中3本目のステージとなったSS14でベストタイムを記録。さらに午後のSS15でもステージ優勝を飾るなど、先行するライバルとの差を縮めていく。
 
 しかし、総合2位のライバルに4.7秒にまで迫ったものの、逆転には至らず。それでも総合3位でフィニッシュし、優勝した前戦メキシコに続く今季3度目のポディウムを獲得している。

セバスチャン・オジエ(トヨタ)

 オジエの後方、総合4番手で最終日を迎えたエバンスはオープングのSS12で最速タイムをマークし、WRC6連覇王者とのタイム差を5.8秒に縮めてみせる。しかし、その後はギャップが広がり結局、エバンスは総合4位でのフィニッシュとなった。
 
 前日に1分のタイムペナルティを受け表彰台争いから脱落してしまったロバンペラは、パワーステージとなった最終SS17を含む3本のSSでステージ優勝を飾り、他2本のSSでもセカンドベストを刻むなど持ち前の速さを発揮。最終的に順位をひとつ上げ、総合5位でフィニッシュしている。

 TOYOTA GAZOO Racing WRTチャレンジプログラムに参加している勝田貴元はデイ3を総合5番手の好位置でスタートするも、SS13でコースオフを喫してリタイアに。惜しくも完走を逃すこととなった。

 ヤリスWRCを駆る3人のドライバーが、6本のSSすべてで最速タイムを記録したことにより最終日の全SSを制覇したトヨタは、オジエとエバンスの3位、4位フィニッシュによってマニュファクチャラー選手権首位の座を守ることに成功した。また、オジエもドライバー選手権のリードを堅守している。

「ラリー・エストニアの結果は、チーム全体にとって非常に良いものとなり、ドライバー選手権、マニュファクチャラー選手権ともに首位を守ることができた」と語るのはTOYOTA GAZOO Racing WRTのトミ・マキネン代表。

エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)

■驚速19歳を指揮官が絶賛!

「しかし、自分たちのパフォーマンスに完全に満足しているわけではない。テストの時とは路面コンディションが異なり、セットアップに苦労した」

「それでも今日のような、よりハイスピードなステージでは、我々の全ドライバーが速いタイムを出すことができた。特に、カッレ(・ロバンペラ)はまだ若いのに、非常に印象的なスピードを披露してくれた」

「今日のパワーステージのように大きなプレッシャーがかかる状況で、彼は最高のパフォーマンスを発揮するようだ。昨日のタイヤトラブルさえなければ、きっとより良いリザルトを残していたに違いない」

 チームの大将から称賛を受けたロバンペラは「この週末の自分のペースとドライビングはとても良く、本当に満足している」と述べ、「とても運転しやすいクルマを用意してくれたチームに心から感謝している」と続けた。

 エストニアで2020年シーズンが再開されたWRCの次戦は第5戦トルコ。9月18~20日に行われるこのラリーはトルコ南西部のマルマリスを中心に開催されるグラベル(未舗装路)ラリーで、WRCで1、2を争う荒れた路面が最大の特徴だ。
 
 また、気温も高くスピードだけでなくマシンの耐久性も求められる過酷なラリーとなる。SSは全12本で合計距離は223.0km。これは2019年大会と比べて87km短くなっている。

セバスチャン・オジエ(トヨタ)
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)

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