一瞬で自己修復する強靱な超分子材料、大阪大学が開発に成功

大阪大学大学院の朴峻秀大学院生(博士後期課程3年)らと山形大学のグループは、二種類の高分子を混合することで、傷を自然に修復できる非常に強靭な材料の作製に成功した。

ゴムやプラスチック、繊維などの高分子材料(ポリマー材料)は軽くて柔らかく製造も比較的簡単で、生活には欠かせない材料だ。しかし、近年、廃棄プラスチックによる環境汚染や原料となる資源の枯渇などが問題とされ、高分子材料の強靭化・長寿命化が求められている。

研究グループは、ホストポリマーとゲストポリマーという二種類の高分子化合物を合成し、これを一般的な混合装置(遊星型ボールミル)で混ぜ合わせることで、二種類のポリマーが弱い分子間力(ホスト-ゲスト相互作用)で組み合わさった超分子材料を得た。このとき、より強い混合力を与えることで、得られる超分子材料がより強靭になることを発見した。

この材料でコーティング膜を作り、その表面に傷を入れると数秒で傷が消失。ホスト-ゲスト相互作用はポリマー中の分子間で何度も接着・分離が可能なため、超分子材料は傷を修復して生命のように自己修復できる。また、完全にバラバラに破壊しても、再度混合処理を行うことで、材料を元の形に再生使用することができ、強度も回復した。

今回示した二種類の高分子を混ぜ合わせる方法は非常に簡便で、超分子材料の実用化を大きく推進するもの。機械や電子機器、自動車、航空機、ロボットの表面保護コートとして用途は広い。超分子材料が社会に広がり、ポリマー材料を長寿命化、メンテナンスフリー化することで、環境問題を含む様々な社会課題の解決へつながることが期待される。

論文情報:

【Advanced Materials】Extremely Rapid Self-Healable and Recyclable Supramolecular Materials through Planetary Ball Milling and Host-Guest Interactions

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