台風10号 長崎県内15人重軽傷 野母崎で最大瞬間風速59.4メートル 全世帯の19%相当、約17万3770戸が一時停電 避難所には最大5万人以上

外壁や屋根が剥がれ落ちた香焼中の体育館=7日午後0時56分、長崎市香焼町

 大型で強い台風10号は、7日未明から朝にかけて長崎県に最接近し、県内全域を風速25メートル以上の暴風域に巻き込み通過した。長崎地方気象台によると、最大瞬間風速は長崎市野母崎でこの地点の観測史上最大となる59.4メートルを記録。県によると、長崎市の男性が骨折するなど県内で15人が重軽傷を負った。県内全世帯の19%に相当する約17万3770戸が一時停電し、避難所には最大5万人以上が避難した。

 同気象台によると、各地の最大瞬間風速は対馬市鰐浦48.9メートル、同市美津島44.2メートル、大村42.2メートルなど8地点で観測史上最大となった。
 県などによると、各市町は742カ所に避難所を開設。最大2万5098世帯5万444人が身を寄せた。新型コロナウイルス感染症の防止対策として収容人数を制限しており、大半の自治体で満員状態の箇所が出た。いずれも近隣の避難所を案内したり、新たに開設したりして対応した。
 県によると、長崎市の60代男性が作業中に転落し重傷。同市の70代男性は足を滑らせて転倒し骨折した。避難所の五島市勤労福祉センターでは3階の窓ガラスが割れ、避難していた男女4人が手足を切る軽いけが。雲仙市の80代男性、長崎市の80代と70代の女性が、いずれも強風にあおられて転倒し軽傷を負った。
 倒木や家屋の屋根が吹き飛ばされる被害も各地で発生。避難所の長崎市立香焼中体育館は窓ガラスが割れ、コンクリート製の外壁が剥がれた。
 長崎港では係留していた建設会社の作業船(フローティングドック、6千トン級)が流出。係留ロープが破断したとみられる。長崎海上保安部によると、けが人や油の流出はなかった。壱岐市や南島原市では浮桟橋の連絡橋が海に落下する被害も出た。
 佐世保市水産センター(大潟町)では、停電の影響で飼育用水槽が作動せずカサゴ5万尾、オコゼ2万尾が死んだ。九州電力送配電長崎支社によると、7日午後9時現在、長崎市や西海市、佐世保市、平戸市など約4万60戸で停電が続いている。

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