超難問。見つけられる?星空の連続画像に写り込んだ3つの小惑星

7月24日にテネリフェ島で撮影された星空の画像4枚から作成されたアニメーション画像(Credit: ESA)

こちらのアニメーション画像に写っているのは、大西洋に浮かぶカナリア諸島のテネリフェ島にある口径1mの望遠鏡を使って撮影された星空の一部。(アニメーションが見えない方は、直接画像表示するこちらをクリック)

日本時間7月24日11時46分から12時36分の間に撮影された4枚の画像(白黒反転)をもとに作成されています。ほとんどの星々は位置が変わらないのですが、目を凝らしてみると、直線状に位置を変えている天体が見つかります。これは太陽系内を移動している小惑星が捉えられたもので、欧州宇宙機関(ESA)によると全部で3つの小惑星が写っているといいます。筆者は2つしか見つけることができませんでしたが、読者の皆様はいかがでしょうか?

ESAによると、撮影された小惑星のうち最も暗く最も大きく移動しているものは、7月に地球からおよそ1000万km(月までの距離の約26倍)離れたところを通過していった小惑星「2020 OM3」だといいます。2020 OM3は直径が約40mと推定されていますが、これは1908年6月にシベリアへ落下し、およそ2000平方kmに渡り木々をなぎ倒したツングースカ大爆発を起こした天体と同程度とみられています。2013年2月にロシア中部のチェリャビンスクへ落下して1000名以上を負傷させた隕石は、直径10m前後だったと推定されています。

地球に接近する軌道を描く天体は「NEO(Near Earth Object)」、日本語で「地球接近天体」や「地球近傍天体」などと呼ばれています。決して無視できない被害をもたらし得るNEOが地球に衝突する可能性を把握するのは重要ですが、ESAによると推定200万個とされる直径30m以上のNEOのうち、見つかっているのはその1パーセントに満たない1万8000個ほどに過ぎないといいます。ESAはテネリフェ島の望遠鏡を使い、毎月4回NEOの観測を実施。発見済みの天体のサイズや軌道を正確に割り出す定期的な観測に加えて、ESAの地球接近天体調整センター(NEOCC:Near-Earth Object Coordination Centre)は未発見の天体も捜索しています。

なお、NEOCCは冒頭のアニメーション画像に写っている3つの小惑星の座標(赤経/赤緯)とその名称(わかる場合)を出題しており、9月25日までの期限で解答を募集しています(応募方法等については http://neo.ssa.esa.int/neocc-riddles (英語)をご参照下さい)。解説編は締め切り後に公開されると思われますので、筆者も残る1つを探しつつ待ちたいと思います。

Image Credit: ESA
Source: ESA / NEOCC Riddles
文/松村武宏

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