増大する医療費、自己負担割合の増加は目前!

縮小する医薬品業界、増大する医療費、自己負担割合の増加は目前!?

薬の値段を決めているのは製薬メーカーではない

医療用医薬品(医師から処方される医薬品)の価格は薬価(やっか)と呼ばれ、国が価格を定め、「薬価基準」に収載される。製薬企業は、新薬を開発してもその医薬品が薬価基準に収載されるまで販売することはできない。いくつかの方式で薬価が定められ、国が価格を設定する。

抗がん剤「オプジーボ」の薬価は1瓶あたり2014年に72万9849円であったが、その3年後の2017年には50%値下げした36万4925円、2018年には17万3768円と値下がり、当初より76%安くなった。

国は毎年薬価を改定する見込みで、薬価引き下げの動きを強めている。

推進されている「ジェネリック」も成長鈍化

先発医薬品より3〜5割安いのがジェネリック(後発)医薬品。開発費が掛からない分、価格も安い。国が進める「ジェネリックの数量使用割合80%」もあり、多くの医療機関でジェネリックを推進する動きが活発になっている。ちなみに現在の日本でのジェネリック割合は79%ほど。

しかし、薬価改定により薬の価格は下がる中、ジェネリックも逆風に。先発品の価格が下がってしまうと、ジェネリックは更に安くなる。利益が薄くなってしまうのだ。

頼みの綱は海外

競争力の無いメーカーは淘汰される時代へ。国内企業は海外の製薬メーカーと経営統合やM &A、提携を通して生き残っている。国内首位の武田薬品は欧州シャイアーを買収、アステラス製薬はファイザーと提携、第一三共はアストラゼネカと提携、中外製薬はロシュと、エーザイはメルクと、多くの製薬メーカーが海外に目を向ける。

高齢者の自己負担割合増は時間の問題

現在の日本の制度上、医療費の自己負担は74歳まで3割負担、75歳以上で1割負担となっている。医療費は年間40兆円を超え、毎年増加している。ジェネリックでの医療費削減も頭打ちになり、残るは自己負担割合が増えることにより医療費を削減する方向へシフトするだろう。

目を背けられない医療費問題

医療費増加を食い止めるには抜本的な解決策が求められる。しかし、医薬品業界の縮小は、未来の患者に損失をもたらすかもしれない。行き着く先は“死”というテーマ。ある種、人間の寿命が延びた為に抱える問題であると言える。“医療費削減の安楽死”を進める社会になるのだろうか。医療費と製薬業界の間で揺れ動く“医療ビジネス”。あなたならどう考える。

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