「日本初の10億円選手が出るのでは?」開幕10連勝の菅野に元メジャー右腕が抱く期待

巨人・菅野智之【写真提供:読売巨人軍】

元阪神OB藪恵壹氏が思わず唸った開幕10連勝「菅野は凄いなぁ」

■巨人 2-0 中日(8日・ナゴヤドーム)

巨人は8日、敵地ナゴヤドームでの中日戦で2-0で完封勝ちした。この日、先発マウンドに上がった菅野智之投手は7回101球を投げて5安打無失点の好投を披露。開幕から無傷の連勝で、両リーグトップとなる10勝目を挙げた。巨人の開幕投手で開幕10連勝を達成したのは、1938年に11連勝したスタルヒン以来、82年ぶりの大記録となった。

今季は向かうところ敵なしといった風格を漂わせている30歳右腕。その姿に「菅野は凄いなぁ」と感心しきりなのが、阪神OBで元メジャーリーガーの藪恵壹氏だ。この日の菅野は初回、スライダーを引っかけてアルモンテに死球を当てるなど、立ち上がりがやや不安定だった。藪氏も「ちょっとストレートも高めに行っていたので、どうかなって思っていましたけど、最終的に7回101球無失点ですからね」と唸った。

菅野は1回と2回に連続で得点圏に走者を置いたが、これをしっかり切り抜けると、3回以降は二塁を踏ませることはなかった。昨季途中まで80打席連続無安打だった相手先発の大野雄にクリーンヒットを2本、許す場面もあったが、「菅野は投手の打席では少し力を抜いて、厳しくいかないのかも」と藪氏は指摘する。

「打者によってメリハリをつけているんでしょうね。大野投手には2本打たれましたが、2回に大島(洋平)選手を空振り三振にしたり、5回はアルモンテを二ゴロ併殺に打ち取ったり、必要なところで力を入れてアウトを取れる。これは素晴らしいことですね」

巨人はこれで今季41勝目を飾ったが、そのうちの10勝が菅野の勝ち星だ。藪氏は「勝ち星の1/4が菅野っていうのも、また凄い。2人分は稼いでいますよ」と絶賛。今オフにも米球界に挑戦するのではと噂されているが、藪氏の見立てはこうだ。

来シーズンに噂される菅野の米挑戦は… 「オファーが出づらいのでは」

「来季、もしかしたら日本初の10億円プレーヤーが出るんじゃないですか? コロナ禍で米経済が回らない中、ポスティング制度を利用して移籍しようという選手にオファーは出づらいと思います。ただでさえ、球団経営が逼迫するかもしれないのに、ポスティングだと選手との契約金の他に譲渡金がかかってしまう。それだったら、もう1年待って海外FAを取ってから来た方がいいとアドバイスされるような気がします」

藪氏が期待するのが、NPB初の10億円プレーヤーの誕生だ。

「単年だったら、10億円の契約を結ぶ可能性はあると思います。昔、阿部慎之助2軍監督が『そういう選手がいてもいいと思う』ってよく言っていたじゃないですか。夢もあるし、10億円プレーヤー誕生は見てみたいですね」

すっかり球界のエースたる風格が漂う菅野だが、1つだけ足りないものがあるとすれば、それはチームを優勝させた経験だという。昨季セ・リーグ優勝を果たした巨人だが、菅野自身は腰痛が原因で不完全燃焼に終わっていた。

「後はチームを優勝させられるか。自分の力でチームを優勝させたいという想いと、いい成績を出して米挑戦したいという気持ちが、今季の活躍を支えているのでしょう」

次回、開幕11連勝をかけて対戦するのは、東京ドームでの阪神戦になる可能性が高い。2位争いを繰り広げる阪神に、力の差を見せつける好投で大記録を繋ぎたい。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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