お砂糖大辞典

お砂糖大辞典

sugar dictionary

お菓子やパン作りに重要なお砂糖。
種類が多くてどれを選んだらよいか迷うことはありませんか?
これを読めば一目瞭然!たけだかおる先生によるお砂糖大辞典です。

撮影協力:kaikoさん

砂糖の効果

お菓子作りにおいて、砂糖にはいろんな役割があります。
甘さを控えたお菓子を作りたいと考えて、砂糖を減らしてしまうとうまくいかない原因になることも。
まずはお砂糖の持つ効果を覚えて、失敗を防ぐ第一歩にしましょう。

砂糖の分類

砂糖には、原料による分類と製造方法による分類があります。

代表的な砂糖

代表的なお砂糖をご紹介します。

グラニュー糖

【製法】分蜜糖
【原材料】さとうきび、甜菜(ビート)
【おすすめ】焼き菓子全般

海外で砂糖といえば一般的にこれを指します。
精製度が高くさらっとしています。
一般的なグラニュー糖はさとうきびから作られ、ビートグラニュー糖は甜菜から作られます。

微細グラニュー糖

【製法】分蜜糖
【原材料】さとうきび、甜菜(ビート)
【おすすめ】ムース、アイスクリーム、メレンゲ、焼き菓子全般

製菓用で粒子が細かいため、作業性がよいです。
メレンゲ、生クリームやバターに馴染みやすいです。

粉糖

【製法】分蜜糖
【原材料】さとうきび、甜菜(ビート)
【おすすめ】アイシングクッキー、焼き菓子、デコレーションなど

グラニュー糖を細かく粉砕したものです。
生地になじみやすく、クッキーなどを軽く仕上げたいときに使います。
固まりにくくするためにオリゴ糖や粉末水あめが入っているもの、油脂などでコーティングしたデコレーション用粉糖があります。

Q.粉糖の種類と使い分けは?

上白糖

【製法】分蜜糖
【原材料】さとうきび、甜菜(ビート)
【おすすめ】焼き菓子、スポンジケーキ、フィナンシェなど

しっとりとした質感の日本独特の砂糖です。
製造過程で転化糖を加えているため、しっとりさせたい焼き菓子に使うと効果が出ます。
甘みはグラニュー糖よりも強く感じられます。

三温糖

【製法】分蜜糖
【原材料】さとうきび、ビート
【おすすめ】煮物などコクを出したいもの

製造工程で三度温めることから、三温糖の名前がついた砂糖です。
成分的には上白糖と同じです。
茶色い色は精製度が低いためではなく、製造工程の加熱でキャラメル化しているからです。
商品としてキャラメルを添加したものもあります。

和三盆糖

【製法】分蜜糖
【原材料】さとうきび
【おすすめ】落雁など和菓子、焼き菓子など

※古典的な製法の和三盆の中には、完全に分蜜になっていないものもあります。

日本独特の伝統製法で作られる砂糖です。
盆の上で三度研ぐ(糖蜜を分離する)ことから和三盆という名前がつきました。
三度以上研いで、より白くした製品もあります。

黒糖

【製法】含蜜糖
【原材料】さとうきび
【おすすめ】焼き菓子、ムース、和菓子など

さとうきびの絞り汁を煮沸して煮詰めた精製度の低い砂糖です。

カソナード

【製法】含蜜糖
【原材料】さとうきび
【おすすめ】焼き菓子、ブリュレのキャラメリゼなど

フランス産のさとうきびの絞り汁を煮沸して煮詰めた砂糖です。
コクがあり焼き菓子などに使うと独特の風味が出ます。

ヴェルジョワーズ

【製法】含蜜糖
【原材料】甜菜(ビート)
【おすすめ】焼き菓子、ブリュレのキャラメリゼなど

甜菜の糖液から砂糖の結晶を分離したあとに残る糖蜜の一種です。
しっとりした質感です。

メープルシュガー

【製法】含蜜糖
【原材料】さとうかえで
【おすすめ】焼き菓子、ムースなど

さとうかえでの樹液を煮詰めたものです。
甘みと風味が強く、ミネラル分を多く含みます。
作業性の良いパウダー状の商品もあります。

Q.メープルシロップの「アンバー」や「ダーク」ってなに?

その他の甘味料

転化糖

ブドウ糖と果糖からなる甘味料です。
保水性があるので焼き菓子をしっとりと仕上げられます。
甘みは砂糖より強く感じられます。
砂糖の再結晶を抑えるシャリ止めとして使うことがあります。

Q.転化糖をはちみつや水あめに置き換えることは可能?

水あめ

デンプンからつくられた甘味料です。
保水性があるので焼き菓子をしっとりと仕上げられます。
甘みは砂糖の40%程度です。
砂糖の再結晶を抑えるシャリ止めとして使うことがあります。

トレハロース

デンプンなどからつくられる甘味料です。
砂糖半分以下の甘みで、焼き菓子をしっとりと仕上げられます。
生クリームの離水防止、デンプンの老化防止にも使えます。

はちみつ

花の蜜に酵素を加えて加工したものです。
花の種類によって香りや味が異なります。
保水性があり、焼き菓子に使うと焼き色がよくつきます。
カロリーは砂糖より低く、甘味は強いです。

パウンドケーキを焼き比べ

同じ配合で砂糖の種類のみを変えてパウンドケーキを焼きました。
質感に差が出ないように泡立てず、ベーキングパウダー不使用です。

左上:微細グラニュー糖
右上:カソナード
左下:粉糖
右下:グラニュー糖とはちみつ

【微細グラニュー糖】
甘さが上品で、濃くなく薄くなく焼き色がつく。

【カソナード】
焼き色がほんのり黄みがかったように見える。ややしっとりした質感。

【粉糖】
気泡の出方がややグラニュー糖よりも多く、少し軽い質感。

【グラニュー糖とはちみつ】
表面の焼き色がしっかりとつき、ややしっとりした質感。

砂糖Q&A;

お砂糖に関するよくある質問をまとめました。

Q.粉糖の種類と使い分けは?

Q.砂糖の効果を落とさずに甘さを減らす方法は?

Q.転化糖をはちみつや水あめに置き換えることは可能?

Q.メープルシロップの「アンバー」や「ダーク」ってなに?

Q.固まったお砂糖はどうすればいい?

おすすめの保存容器

気密性が高い保存容器をご紹介します。

密閉性の高いクリップ式で、圧力がかかり過ぎずに十分な気密性を保ちます。

広口瓶で使いやすく、付属のゴム製パッキンとワイヤーでしっかり密閉ができます。

筆者紹介

洋菓子研究家・お菓子教室主宰。幼少の頃からお菓子作りを始め、国内外の様々なお教室やパティスリーで学ぶ。
製菓理論に基づき、独自のメソッドでお菓子作りを研究。現在は料理家や食のプロも通う洋菓子教室を自宅にて開催。

HP:たけだかおる洋菓子研究室

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