シリコンバレーで最も著名な「スタートアップ養成所」Y Combinator - ②コロナ禍のスタートアップへのメッセージ

 日本でも名前の知られるシリコンバレー発の企業を次々と輩出している「スタートアップ養成所」Y Combinatorをご存知だろうか。後編となる今回は、Y Combinatorがコロナ禍のスタートアップに向けたメッセージを紹介しよう。

  前編となる前回は、シリコンバレーで最も著名なシードアクセラレーターとして、世の中に様々な企業をうみだしてきたY Combinatorが、”Startup School”という教材を公開することで、世界中の起業家に対しても大きなイニシアチブをもちつつあることを紹介した。そして後編となる今回はY Combinatorがコロナ禍のスタートアップに向けたメッセージを紹介しよう。

事業をピボットできるスタートアップならではの生き残り方

 2020年3月より本格的な流行が始まり、いまだ収束の様子を見せない新型コロナウイルス・Covid-19は、経営体力がない世界中のスタートアップにとって深刻な問題となっている。フランス最大のスタートアップ支援施設Station Fの、入居者に対する調査によると、なんと91%のスタートアップが多かれ少なかれ影響を受け、47%が資金調達がうまくいっていないという結果が出ており、世界にみても影響は避けられないようだ。

 

 そのような先の見えない状況の中、Y CombinatorのパートナーであるEric MigicovskyとJared Friedmanが“COVID-19 Tips for Startups”と題して、世界中のスタートアップに向けてアドバイスを送っている公式動画を紹介しよう。

⭐︎コロナを過小評価するのではなく、過剰に反応するぐらいで対応する

 スタートアップ経営に際してコロナが悪い影響を及ぼすことは必然だが、それを楽観視するのではなく、あらゆるリスクを鑑みつつ事業計画に落とし込むことが必要である。これはスタートアップにかかわらず日常生活で必要な心構えでもあるかもしれない。

⭐︎スタートアップは「破壊」の中でこそ生き延びる

 コロナに伴う需要の低下など、経済に及ぼす影響が日に日に大きくなっているが、スタートアップは事業をピボット(方向転換)できるからこそ、コロナで生まれる新しい需要にアプローチするべきだ。例えばオンライン学習やフードデリバリー、テレワーク用のアプリは、日本でもコロナの蔓延が始まってからにわかに注目されている。もっというと、リーマンショック直後にAirbnbやUberのようなシェアリングエコノミーが台頭したように、コロナによる「破壊」は、新しいビジネスモデルが誕生する予兆ともいえるかもしれない。

⭐︎まずは自分の身体面と精神面のケアにつとめよう

 起業家にとってコロナはこれまでにない悩みの種だが、まずは自分自身の健康を維持できる環境を整備していくことが重要だ。スタートアップとは決して100メートル走ではなく、長期的な目線が必要となるマラソンである。なので、まずは自身や家族の体調を慮り、マラソンを続けていくことを考えるべきだ。

 その他、動画内では、寄せられた質問に対して二人が答えているシーンもあるので、withコロナでの事業の方向性に迷われている方は是非みていただきたい。

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