【MLB】山口俊は「素晴らしいスプリットと自信をつけた」米メディアが好救援のワケを特集

ブルージェイズ・山口俊【写真:AP】

米メディア「ジ・アスレチック」が山口の特集記事を掲載「日本からメジャーへの適応は成功している」

ブルージェイズ・山口俊投手に対する米メディアの評価が急上昇している。8日(日本時間9日)にニューヨーク州バッファローで行われたヤンキース戦では2点リードの5回から2番手で登板し、メジャー2勝目(3敗)をマーク。米メディア「ジ・アスレチック」は「最初の印象を変えるのは難しい。しかし、シュン・ヤマグチは少なくとも初めの印象を変えることができると証明した」と特集記事を掲載した。

7月こそ2戦2敗、防御率36.00と散々なスタートとなったが、8月から安定した投球。8月26日(同27日)のレッドソックス戦で4回2安打1失点の好救援で初勝利を挙げるなどロングリリーフで結果を出している。同メディアは「シナリオライターが脚本にできるほど悲惨なスタートを切った」とデビュー2登板を振り返りつつも、8月以降の好投を高く評価している。

「ヤマグチはとてもシャープになった。実際、彼は直近の9度の登板では、19回1/3を投げ、防御率2.33、19奪三振である。シーズン始めの2度の登板の後、防御率36.00だったが、それ以降の活躍で、これまでに防御率を3.98まで落とした。始めの登板は確かに醜かったが、今では彼の日本からメジャーリーグへ適応は成功しているように見える、と言っていいだろう」

では、山口の成功の秘訣はどこにあったのか。同メディアは速い球を投げようとして崩れていた投球フォームを戻したこと、スプリットを要因に挙げた。

勝負球スプリットは被打率.189、新天地にも適応「クラブハウスでもっと笑うようになった」

「より速いボールを投げようとすることで、彼のデリバリーが崩れた。そして、それが、初期の醜い結果に繋がった。その後、彼はボールをよりハードに投げることを気にせず、以前のフォームに戻した。そのフォームではボールが実際の速度より遅く来るように見えるので、(打者が)戸惑っているようだと彼は語った」

「スプリット、またはフォークは日本の投手の中では武器として良く使われる。NPBでは広く使われている球種だが、MLBではNPBほど使われてないため危険な球種だ。しかしスプリングトレーニングの始め頃の2月、ヤマグチはそのボールを(打者に)良く見られていて、芯でとらえられていると心配を口にしていた。その結果、彼はそれをあまり使わなくなった。しかし8月中頃からベストの球種(スプリット)を投げることに再び良い感覚を取り戻して、これをより多く使うようになった。それが効果的であった」

同メディアが「ファストボールに良く似ている」と表するスプリットの被打率は.189。「スプリットを低く打者から離れるように投げる一方で、フォーシームをストライクゾーンの高めに効果的に使って成功を収めた」と伝えて称賛した。そして、山口の特集をこのように締めくくっている。

「通訳のサクライが彼のそばにいつもいるが、ヤマグチは彼のチームメートと(直接)コミュニケーションを取るように努力している。彼の監督は彼がクラブハウスでもっと笑うようになったと語った。素晴らしいスプリットと自信をつけたヤマグチは醜かったデビューを過去のものとして、ブルージェイズの絶好調のブルペンの価値ある1人となった」

ここまでチームは地区2位でポストシーズン進出圏内にいる。自信をつかんだスプリットでキリキリ舞いにする山口俊の投球に注目が集まる。(Full-Count編集部)

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