あおり運転 通報急増 長崎県内、厳罰化以降3.6倍

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 あおり運転を「妨害運転」と規定し厳罰化した改正道交法が6月30日に施行されて以降、県内で「あおり運転の被害に遭った」との通報が急増している。県警によると、7、8月の2カ月間で計50件を数え、前年同期(14件)の約3.6倍となった。このうち29件は行為者を特定したが、悪質性がないことなどから口頭指導とした。今月10日現在、法改正後のあおり運転での摘発はない。県警は「厳罰化を受け、あおり運転への関心が高まった」とみている。
 県警交通指導課によると、通報件数は7月31件、8月19件。1~6月の通報は61件と月平均約10件で、法改正後は大きく上回るペースで推移している。
 50件のうち、「車間距離不保持」が28件を占め、「前方の車が急ブレーキをかけた」「クラクションを鳴らされた」などもあった。場所は高速道路6件、一般道44件。行為者自身はあおり運転と認識していないケースもあったという。
 通報の中には、運転者同士のトラブルに発展したケースもあった。8月には県南地域の国道で、交差点を左折しようとしていた30代男性が、右折車に割り込まれたことに立腹。近くの駐車場まで追い掛け、運転者の肩を両手でつかむなどの暴行を加えた。被害申告がないなどの理由で事件には至らなかった。ほかに、運転者同士が口論になった事案もあった。
 これまでは同様の通報を受けた場合でも、立件に向けては「ハードルが高かった」(県警幹部)。法改正で県警は事件化を見据えた積極的な対応が可能になり、高速道路では地上と上空の双方で取り締まる「キャッチアイ作戦」も展開している。
 また、追い越し車線をゆっくり走行するなど、「あおり」のきっかけをつくる運転にも注意を呼び掛けている。同課は「被害者を泣き寝入りさせない。あおり運転に遭遇した場合は、すぐに通報してトラブルを避けてほしい」としている。

 


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