パリからリモート指示 川俣正さん、横浜3会場で展覧会

川俣正さんの作品「都市への挿入」=みなとみらい線馬車道駅構内

 パリを拠点に活躍する現代美術家・川俣正さんがパリからリモートで手掛け、制作過程も展示する展覧会が、みなとみらい(MM)線馬車道駅など横浜市内3会場で始まった。「BankART(バンカート)1929」(同市中区)の主催。建設資材を組み合わせた作品で、新市庁舎などの開発が進み変貌する現在進行形の横浜を表現しているという。

 「BankART Life Ⅵ『都市への挿入』川俣正」と題した展覧会では、会場となる駅構内や歴史的建造物に建設資材の金属フェンスや鉄パイプを使い、「工事現場」を表現するインスタレーション(空間的芸術)を展示している。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で川俣さんは来日することが難しいことから、パリから指示を出してアーティスト仲間らが作品を作り上げる形で進めた。歴史的建造物「旧第一銀行」を活用したアートスペース「BankART Temporary」(同区)では、内部の作品が完成。14日から外壁をフェンスで覆う作品の制作が始まり、出来上がるまでの過程を見ることができる。

 MM線新高島駅地下1階の「BankART Station」では、川俣さんが世界各地で行ってきたプロジェクトを紹介。馬車道駅構内では、吹き抜けスペースに高さ約7.5メートルの巨大な作品を展示している。

 川俣さんは2005年の第2回横浜トリエンナーレで総合ディレクターを務めたほか、「BankART Studio NYK(現在は解体)」で12年に木製パレット(荷台)を使った作品を発表している。BankART1929の池田修代表は「インスタレーションを都市に挿入し、点在するパブリックアートをつなぐことで『アーバンミュージアム』にするきっかけになれば」と話す。

 展覧会は10月11日までの午前11時~午後7時(毎週木曜休場)。通期チケットは一般千円。大学生、専門学校生、横浜市民は600円。高校生以下と65歳以上、障害者は無料。「ヨコハマトリエンナーレ2020」「黄金町バザール2020」の各会場と連動したチケットもある。問い合わせは、BankART1929電話045(663)2812。

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