植物性ミルクは、牛乳よりヘルシーなのか?

アメリカではヘルシー志向や健康上の理由から乳製品を避ける人口が増え、今ではどのスーパーマーケットに行っても、植物から作られた牛乳の代用飲料がずらりと並んでいる。豆乳、ココナッツ・ミルク、アーモンド・ミルク、オーツ・ミルク、米ミルク……。植物性ミルクは、牛乳よりもヘルシーなのだろうか?

植物性ミルク購入者の約半数が牛乳よりもヘルシーだと考えている

アメリカでは肉も魚も乳製品も食さない「ビーガン」と呼ばれる菜食主義者や、ラクトース(乳糖)の摂取を避ける人たちのために、植物から作られたミルクの代用飲料が数多く販売されている。昨年のコンシューマー・レポートの市場調査によると、2012年からの6年間で植物ミルクの消費は61%も増加したという。

日本でも馴染みのある豆乳をはじめ、アメリカではミルクの代用飲料にココナッツやアーモンドから採取したミルクや、えん麦(からす麦)から作られたオーツ・ミルク、米から作ったライス・ミルクなども支持されている。商品名には「ミルク」と書かれているが、もちろん植物性ミルクは「ミルク」ではない。

ラクトース不耐症などの健康上の理由をのぞいて、アメリカで植物性ミルクが支持される三大理由は、牛や羊などの動物から絞られた乳を飲まないことは動物虐待ではないこと(Cruelty-Free)、植物は家畜よりも地球環境に優しいこと(牛の家畜によるメタンガス放出問題などがあるため)、牛乳に入っている飽和脂肪やホルモン、抗生物質が入っていないためヘルシーだと言うこと。しかし前述のコンシューマー・レポートが先月、「植物性ミルクは必ずしもヘルシーとはいえない」という記事を出し、健康を気にする人たちの注目が集まった。

植物性ミルクの方がヘルシーとは限らない?

植物性ミルクは、飲みやすくするためにフレーバーや加糖されている商品が多い。また、内容成分を安定させるために、腎疾患や心臓病などを引き起こす可能性があるリン酸三カルシウム、リン酸二ナトリウムなどが使われているものもある。様々な栄養素が加えられているが、その分量はすべてが牛乳と同じかそれ以上だとは言えないという。

なかでも「環境保護の視点から牛乳を飲まない人」が多いが、ウィスコンシン・マディソン大学の研究によると、豆乳とオーツ・ミルクは牛乳よりも少ない水量と少ない温室効果ガスで環境に優しいが、最も人気が高いアーモンド・ミルクは、牛乳や豆乳よりも多くの水を使用して栽培するため、必ずしも環境に優しいとはいえないそうだ。

コンシューマー・レポートの結論は、ラクトース(乳糖)の摂取を避ける必要があるなど健康上の問題がなければ、牛乳は栄養価が高い飲み物であること、植物ミルクを購入するならば、「内容表示をよく読み、オーガニックで無加糖、添加物が少なく、なるべく栄養価が高いものを選ぶことが必要」だとアドバイスしている。すべてを満たす代替飲料は、まだないということのようだ。

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