不動産投資「国交省データ」から逆算する“利益の出やすい”物件

コロナによる不動産価格の下落は起こっているのでしょうか? そして、サラリーマンなどの兼業投資家でも、おトクに物件を購入する方法はあるのでしょうか? 「本格的な下落は起こってないものの、その兆候は国交省のデータから読み取れる」と主張する税理士大家の著者が、サラリーマン投資家でもできる「不景気に強い物件取得法」を説きました。


土地暴落の兆候? 新築投資は待つべきか

不動産価格も株価も本格的な下落とまではいっていませんが、不動産下落の「兆候」は公の統計から読み取ることができます。最近出た調査結果では、「地価LOOKレポート 令和2年第2四半期 (令和2年4月1日~令和2年7月1日)」が参考になります。「地価LOOKレポート」とは、国土交通省が全国の主要都市を対象に商業地、住宅地など100地区において3か月ごとの地価変動を年4回公表するレポートとなっており、信憑性が高いデータです。

その最新版の土地値は、前回調査と比較して結果はこうなりました。

●上昇地区:73→1
●横ばい地区:23→61
●下落地区:4→38

3か月前と比べて、上昇が72ポイント減、反対に下落は34ポイントも上昇しています。土地値の動向がコロナを節目に大きく変動していることが、調査結果からも読み取ることができます

土地の下落は、中心地から下落していき郊外へ広まっていきます。
土地の上昇は、中心地から上昇していき郊外へ広まっていきます。

同調査は主要都市を対象にした調査であるため、下落が全国に広がっていくことを示唆しているかもしれません。そのため、動きの早い業者は、すでに物件取得へ動き始めている可能性もあります。

個人はどうするべき?

では、個人の不動産投資家は具体的にどうすればよいのでしょうか? 今まで通り、中古のアパート、マンションを探して購入していくというやり方も良いと思います。築古の安い戸建てを購入するというのも、良いでしょう。

しかし、安易に手を出してはいけないのが「新築の建売アパートを購入する」ことだと思います。なぜなら新築は、土地の仕込みから実際に売りに出るまで「1年前後のタイムラグ」があります。そのため、今売りに出ている新築建売アパートはコロナ前の価格が反映されている可能性が高いからです。

もちろん、新築建売アパートがすべてだめ、というのではありません。中にはこの地価下落や厳しい融資状況を見込んで、「採算ぎりぎり、もしくは赤字を出してまで値付けをしてくる業者」もいると思われます。そういう新築建売アパートであれば狙い目かもしれません。売りに出ている新築建売アパートの土地値と建物価格を吟味すれば、判断できると思います。

ハードル高めでも、キャッシュの出やすい投資法

ですが、もっとキャッシュの出やすい物件の仕入れ先はないものでしょうか? 実は、まったくの初心者にはオススメできないものの、今後注目すべき物件の仕入れ先があります。それは「競売」です。競売とは、債権回収を目的に裁判所を通じて、不動産を「セリ」に出すことを指します。

景気の良いときの競売の特徴は、出る物件数が少なく、良い物件も少ないこと。しかし、景気が落ち込む時期は、物件数が急激に増え、良い物件も多くみられるようになります。そのため今後、良い競売物件が増加してくることが見込まれます。

以前は、競売といえば業者の独壇場と言われていましたが、法改正が行われて以降、個人投資家の実需による入札も多い時代となってきました。競売物件でも融資が使える銀行もあるので、以前のように自己資金のみでしか購入できない時代でもありません。

でも、競売といっても具体的にどういうことをすれば良いのかさっぱり見当もつかない、という方も多いでしょう。そういう方は、「BIT 不動産競売物件情報サイト」、「981.jp」の2つのサイトを使って、次の3つのステップを踏むと良いでしょう。

(1)めぼしい物件を探す。
(2)期限内に入札する。
(3)結果を待つ。

物件選びにしても入札価格を決めるにあたっても、複雑な要素を考慮しないといけないため、コツとノウハウが必要です。通常の不動産投資に比べたら、ハードルが高い面はあります。

しかし、競売についてきちんと学び、よい物件を取得できたら、キャッシュが残りやすい投資法であるのもまた事実。コロナによる不景気が見込まる時代、現役大家の方も、サラリーマン大家を目指す方も、物件購入の選択肢の1つに加えてみると良いかもしれません。

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