山田杏奈×玉城ティナ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」インタビュー【前編】“何者でもなかった時の自分”を知ってくれている友達の存在を重ねて――

2016年から19年にかけて「別冊少年マガジン」(講談社)で連載されていた大ヒット作「荒ぶる季節の乙女どもよ。」。原作を岡田麿里さん、漫画を絵本奈央さんが務める本作は、“性”に向き合い、思い悩み、振り回され、そして“荒ぶる”5人の女子高生の世界を描いた群像劇です。昨年7月にはアニメ化を果たし、ミステリアスな美少女が「死ぬまでにしたいことは……セックスです」と言うシーンをはじめとした、インパクトのある作風が話題になりました。

そんな注目の作品がアニメ化に続き待望の実写ドラマ化! “ザ・普通”の高校1年生・小野寺和紗役に山田杏奈さん、和紗と同い年ながらも大人びており、学内でもうわさの美少女・菅原新菜役に玉城ティナさんを迎え、9月8日より放送中です。このたびクランクアップを終えたばかりのお二人を直撃し、ドラマの見どころや撮影現場でのエピソードをお聞きしたインタビューを前・後編にわたりお届けします。

まるで部活のように練習した、オープニングのダンスシーン

――クランクアップ、お疲れさまでした。文芸部のメンバーを演じる横田真悠さん、畑芽育さん、田中珠里さんをはじめ同世代のキャストが多く登場する作品ですが、撮影はどのような雰囲気でしたか?

山田 「作品自体の空気感と同じように、文芸部の5人みんなで和気あいあいと撮影していました。おのおのが自由にしゃべったり、黙ったり…。気を使わない関係で居心地がよかったです。年齢も少しずつ違ったんですけど、ティナちゃんが最初の方に『敬語じゃなくていいよ~』って言ってくれたおかげで、みんなとフランクに話すことができました。みんなで一発ギャグを作ったり、写真を撮り合ったり、いい感じにふざけてました(笑)。5人でのラストのシーンが作品としてもラストのシーンだったんですけど、5人で力を合わせて荒ぶることができたんじゃないかなと思います」

玉城 「泊まり込みでの撮影もあって、みんなで一生懸命取り組みました。夏の撮影、暑かった~(笑)。無事にクランクアップを迎えることができて、今はホッとした気持ちです。みんなとはホテルに帰るのも一緒、ごはんを食べるのも一緒で、家族みたいだったよね。オープニングではダンスを踊ってるんですけど、その練習が部活みたいでした。ダンスシーンの撮影は終盤だったので、夜に振り付けを思い出しながらみんなで踊ったりしました。私、めっちゃ笑われてたよね(笑)」

山田 「ティナちゃんが不思議な動きをしてた時があって、めっちゃ笑った! 面白かったな~。あれ、直っちゃったの?」

玉城 「直った直った! ちゃんとできた(笑)」

――文芸部のメンバーとは、最初から打ち解けることができましたか?

山田 「本読みの時は全然だったよね」

玉城 「うん。でも撮影に入っちゃったらすぐだったね」

山田 「部室のシーンは5人で一緒にいる時間が長かったから、ずっとしゃべってたよね。“絵しりとり”をしたり…」

玉城 「部室のシーンの撮影の時、小道具でメモ帳が置いてあったんですけど、セッティング中とか待機の時間にみんなで絵を描いてしりとりをしてました(笑)。私、全然分からなかったな~」

山田 「1人、画伯がいるんですよ」

玉城 「芽育ちゃんの絵が忘れられない! グッズ作ってほしい(笑)」

山田 「独特のセンスが露呈してました(笑)」

「“何者でもなかった時の自分”みたいなものを知ってくれている人は、絶対いてくれた方がいいなって思います」

――役を演じる中で、どのようなことを意識していたのでしょうか?

山田 「私が演じる和紗は、個性豊かな5人の中でも“普通”という役割を担っている子なので、『普通ってなんだろう?』というのはすごく考えました。視聴者の方に一番近い立ち位置にいる子だと思ったので、等身大でできたらいいなと。でも“普通”と言いながらも心(しん)はちゃんとあって、人のことを思いやることができるところ、ぶれないでいられるところが魅力的だなと思って演じていました」

――監督からはどのような言葉がありましたか?

山田 「監督からは『応援したくなるような子であってほしい』と言われました。私自身、演じながら『すごくいい子だな』って思ったんです。もっとひねくれて考えてしまいそうになるところを和紗はすごく純粋に捉えて、真っすぐな言葉を発したりするんですよね。そこは無理がないように見せないといけないなって、意識して演じていました」

――玉城さんはいかがですか?

玉城 「私は新菜役として髪を染めて、切って、ビジュアルから入りました。キャラクター自体も自分と真逆というわけではないので、彼女の考えていることも理解できましたし、ミステリアスな雰囲気でありながらも、ちゃんと彼女なりの“普通”を持っている子だなと感じました。監督からも『そのまんまで!』というオーダーで(笑)。最初の方は声もアニメに寄せて作り込んだ感じだったんですけど、本読みの段階で『もうちょっと地声っぽく、低めに』と言われたんです。『お高くとまった感じではなく、あくまで女子高生としていてください』というアドバイスをいただいたことで、役に対して悩むこともなく、新菜として生きることができたかなと思います」

――新菜に共感したのはどのような部分ですか?

玉城 「『黙ってたら怖そう』って言われるところ(笑)。周りからの印象と実際の自分にギャップがあって、見た目で判断される悩みを新菜も抱えているんじゃないかなと思ったり…。でもその中で文芸部の存在だけが拠りどころになっている子なので、5人でのシーンの時と、5人以外の登場人物としゃべっている時の温度感は差をつけるようにしました。新菜のセリフの中でも、『言ってること分かるな~』と思うセリフがたくさんありました」

――高校生役を演じて、ご自身の高校時代と重ね合わせる部分はありましたか?

玉城 「こういう学生時代があったらよかったなーとは思いました(笑)。高校生の頃には仕事をしていて、高校生としての思い出みたいなものが少ないので、青春っぽい感じを疑似的に体験できたなーって。あとは高校生で拠りどころになるような人たちがちゃんといる、そういう場所を見つけることができているなら、この先の人生やっていけると思うんです。学生時代の友達――“何者でもなかった時の自分”みたいなものを知ってくれている人は、絶対いてくれた方がいいなって思います」

山田 「うんうん。私は高校時代は女子高に通っていたんですけど、その頃の友達との関係とすごく近い感じでした。5人でいてもいい意味でみんな気を使わない関係で、高校時代を思い出すことが多かったです。私も仕事をしていたから、仕事をしていない時の…」

玉城 「山田杏奈を」

山田・玉城 「(目を合わせて)ふふふ(笑)」

山田 「を知ってる人って数少ないので。同じようで違うというか」

玉城 「(頷く)」

近日公開予定のインタビュー後編では、和紗の幼なじみ・典元泉(井上瑞稀)をはじめとした男性キャラクターとの撮影エピソードや、お二人の頭の中をのぞいた直筆アンケートも!

【プロフィール】

山田杏奈(やまだ あんな)
2001年1月8日生まれ。埼玉県出身。やぎ座。A型。11年、「ちゃおガール☆2011オーデイション」にてグランプリを受賞し、デビュー。主な出演作は、映画「咲-Saki-」「ミスミソウ」「わたしに××しなさい!」「21世紀の女の子『恋愛乾燥剤』」「小さな恋のうた」「五億円のじんせい」「屍人荘の殺人」、ドラマ「幸色のワンルーム」(テレビ朝日ほか)、「新米姉妹のふたりごはん」(テレビ東京系)、「10の秘密」(フジテレビ系)など。映画「ジオラマボーイ・パノラマガール」「樹海村」「哀愁しんでれら」「名も無き世界のエンドロール」が公開予定。

玉城ティナ(たましろ てぃな)
1997年10月8日生まれ。沖縄県出身。てんびん座。O型。2012年、講談社主催の「ミスiD2013」で初代グランプリに輝き、14歳で雑誌「ViVi」の専属モデルとしてデビュー。14年、ドラマ「ダークシステム 恋の王座決定戦」(TBSほか)で女優デビューを果たす。主な出演作は、映画「貞子vs伽椰子」「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」「PとJK」「暗黒女子」「わたしに××しなさい!」「ういらぶ。」「チワワちゃん」「Diner ダイナー」「惡の華」「地獄少女」「AI崩壊」、ドラマ「JKは雪女」(TBSほか)、「そして、ユリコは一人になった」(関西テレビほか)など。

【番組情報】

ドラマイズム「荒ぶる季節の乙女どもよ。」
MBS 火曜 深夜0:59~1:29
TBS 火曜 深夜1:28~1:58
※放送時間は変更の場合あり
<配信情報>TBS放送終了後からTSUTAYAプレミアムで独占配信

取材・文/宮下毬菜 撮影/蓮尾美智子
ヘア&メーク/菅長ふみ(山田)、今井貴子(玉城) スタイリング/中井彩乃(山田)、松居瑠里(玉城)
衣装協力/ワンピース¥48,000 CHANCE(H3O ファッションビュロー)、シューズはスタイリスト私物(玉城)
問い合わせ先/H3O ファッションビュロー ☎03-6712-6180 〒107-0062 東京都港区南青山6-7-5 ドミール南青山906

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