バス路線存続へ「乗り継ぎ」増 長崎自動車 運行効率化へ

 人口減少や新型コロナウイルスの影響で利用が落ち込んだバス路線を存続させるため、長崎自動車(長崎市)は乗り継ぎ拠点(ハブ)を増やして運行を効率化しようとしている。直通より利用客の負担が大きくなることから、市の支援を受け、運賃割引システムを導入する。
 長崎バスの2019年輸送人員は約3800万人。人口減少や少子高齢化を背景に15年間で2割減った。さらにコロナ禍が追い打ちを掛け、今年3~4月を底に回復したものの、6月以降は前年比2割減が続いている。また、長崎市の地形上、路線が周辺から放射状に集まっており、中心市街地が混み合う一因にもなっている。
 需要回復が見込めず、特に採算性が悪い長距離路線の維持が厳しくなる中、同社は乗り継ぎを伴う路線再編を計画。分岐点付近にハブを整備し、行き先ごとに路線を分ける。これにより、乗客の少ないバスが中心部に集中するのを避け、乗車率アップや運行経費の抑制につなげる。
 ただ利用客にとっては、途中乗降の手間に加え、直通に比べ支払いが増える。このため同社は乗り継ぎ時に一定額を割り引くシステムを導入する。計算ソフト開発費約2千万円は市が全額補助する。
 どの路線に導入するかは検討中。同社は「導入路線も通勤通学時間帯は直通を維持したい」としている。早ければ来春改正のダイヤに反映させる。現在、同社発行の地域ICカード「エヌタスTカード」を使い、30分以内に同じ停留所で乗り換えれば、前後の合計運賃から5%を割り引いているが、新制度はさらに拡充させる。
 乗り継ぎ拠点は現在、桜の里ターミナル(同市)と時津北部ターミナル(西彼時津町)にある。

 


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