「ジュニアNISA」廃止が決まって、実は便利な制度に変わっている?教育費を貯める新常識

人生の3大支出といわれている、住宅費、教育費、老後費用。今回は教育費についての「知って得する制度」を紹介します。今まで、使えないといわれていた「ジュニアNISA」の廃止が決まって、実はとても便利な制度に変わっています。


なんとなく学資保険に入っていた時代

子どもが産まれてはじめて、「お金のことをちゃんとしないといけない」と思った方も多いのではないでしょうか?

ちゃんとしようというベクトルが学資保険に向いてしまう人もいます。

私の家庭でも、その昔こんなやり取りがありました。

夫「学資保険なんて必要ないよ」
妻「いや、あなたが死んだらどうするの」
夫「その場合は、遺族年金と生命保険があるよ」
妻「それでも不安だから学資保険はいっておいて!」

と、妻からせっつかれたのを覚えています。

10年程前、なんとなくですが学資保険に入るのが当たり前のような空気感が合った時代があります。「子どもがうまれたら学資保険」と、広告やクチコミになんとなく流されて、たいして増えない学資保険を積み立てています。

さらに低金利がつづき、今ではついに「学資保険に入ると、満期で元本割れ」という商品まであらわれ「え?誰得?」っていうこともあります。世知辛い世の中ですよね。

そんな中、今年、子育て層には良いニュースがありました。そう、ジュニアNISAが廃止されることになったんです。

ジュニアNISA廃止の理由

NISA3兄弟である、NISA、ジュニアNISA、つみたてNISAのうち、NISAとつみたてNISAはルールを変えて継続することになったのですが、ジュニアNISAは廃止が決定しました。廃止が決まったことで、急に使える制度に生まれ変わるという皮肉なことが起こっています。

実際、金融庁のNISA口座の利用状況調査の2020年3月末時点を参照するとNISA口座は711万口座、つみたてNISA口座は114万口座あるのに対して、ジュニアNISAは21万3585口座と圧倒的に人気がありませんでした。

人気がないのも無理はなく、実際に私自身もFPとして数々の子育て層からの相談をうけてきましたが、相談者にジュニアNISAはおすすめしてきませんでした。

ジュニアNISAをおすすめできなかった理由は、「子どもが18歳になるまで基本引き出すことができない」正確には「3月31日時点で18歳である年の前年12月31日 」までは引き出せないと決まっていました。

上記の期限以前にお金を引き出す場合は、運用益に対して税金が発生してしまうものだったからです。

つまり、大学費用として考えると、運用成果が決まるのは、大学入学の年の1月から3月の間の市況の良し悪しによって決まり、利益を出す上で運の要素が高くなります。その時市況が良いかどうかはわからないし、そもそも高校3年生の受験対策の費用にあてることもできないし、中学や高校を私立にしようとして費用が出るときも使えないことになる。

忖度せずに言えば「使えない制度」だったんです。

このジュニアNISAは不人気であるがゆえに、2023年一杯で制度が廃止することになりました。

新しいジュニアNISAの利点

副産物として、2024年以降は子どもが18歳になる前に引き出しても運用益に課税しないということになりました。しかも、18歳まで非課税運用することができる上に、18歳以降はNISA口座に移行することもできるので非常に非課税期間の長いサービスになります。

NISAは20歳からと覚えている方もいると思いますが、民法改正にて成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることをうけて、NISAも2023年からは18歳から開始できるようになる予定です。

ジュニアNISAは、毎年80万円までを運用にまわすことができ、子どもの名義の口座を保護者である親が運用することが可能です。

子どもに運用商品を選ばせて投資教育をさせるという文脈でジュニアNISAを捉えている方もいますが、長期運用をするなら子どもがものごころつく幼少期から始めたほうがよいので、基本的に親が運用先まで決めて、物心がついたら「これがあなたの口座よ」と、資産の上がり下がりを感じてもらうのが良いでしょう。

ジュニアNISAはNISA同様に5年間拠出できますが、今回の改定で2023年までとなったので、今から始める人は2020年分をいれて4年間拠出可能となります。80万円×4年で320万円を運用できます。

仮に320万円分、4歳から18歳まで非課税期間を複利5%で運用することができれば665万円になっている可能性もあり、大学費用もまかなえる可能性があがります。

とはいえ、320万円ものお金を投資に回せる余力が有る人も少いかもしれません。また、大学の学費という利用時期が決まっていて、且つ、失敗ができない支出を、投資だけでつくるのはリスクが高いといえます。

そんな方にむけて、より再現性の高い鉄板の法則について語っていきたいと思います。

実際にどのように積み立てる?

例えば、今年子どもがうまれた場合、子どもが3歳までは月に1万5000円の児童手当が支給されます。0歳から3歳になるまで毎月1万5000円を積み立て5%の複利運用をするることができれば55万8984円になります。そこから18歳になるまで5%の複利運用ができればば最大110万円になっている可能性があります。

3歳から中学3年まで1万円の児童手当もちゃんと貯蓄することができれば、144万円が別に貯まるので、合計254万円になります。

その他に現金で150万円ほど貯めることができれば、約400万円となり、大学の入学金や授業料としては頼もしい金額になってくると思います。単純に考えると、3歳から中学いっぱいまで毎月1万円を児童手当とは別に貯めていくということになります。

もちろん上記は、子どもの誕生日によっても変わりますし、運用は市況によっても左右されます。また児童手当は所得制限があり所得が高い人は対象にならない可能性がありますが児童手当という子どもがいればもらえる+αの制度と非課税枠での複利運用を活用すれば、大学進学費用大部分を充足する可能性があります。

投資は自己責任になりますが、子どもが18歳になるまでに10年前後あれば投資を活用することは元本割れの可能性も低くなります。あくまで考え方ですが、児童手当×ジュニアNISAが活用できるのも2023年までになるのでうまく活用してみるとよいのではないでしょうか。

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