平和メッセージ

 今年の原爆の日の本紙を見て驚かれた方は多かったのではないか。全面に平和公園の石畳の写真を掲載した。紙面を平和公園と見立てて自宅で黙とうし、想像をめぐらせてもらおうと▲コロナウイルス禍で迎える平和祈念式典は規模が縮小された。そうした中、新聞として、どうやれば原爆や平和について考えるきっかけをつくれるのか。たどり着いたのが特別紙面だった▲内輪の話になるが、編集ではなく営業部門のアイデア。灰色の新聞を見て、批判が相次ぐのでは。そう危惧していたが、会員制交流サイト(SNS)には、紙面の“石畳”の上で黙とうする写真などが多数アップされ、自身の頭の固さを痛感させられた▲特別紙面で、8月9日に想像したことをSNSで教えてください、と呼び掛けたところ数百のメッセージが寄せられた。一部を今日付の14、15面で紹介している▲「戦争に限らず想像することが社会をより良くする」「子ども達に遺(のこ)していきたい景色はどんな景色だろうか」「75年前のあの日、裸足(はだし)で彷徨(さまよ)った方の気持ちを汲(く)み取りたかった」▲寄せられたメッセージを見て「紙面を見るだけでなく、本当にいろんなことを思い、考えてくれたんだ」と企画担当の同僚。今日の紙面を見て、また、多くの人が想像をめぐらせてくれるとありがたい。(豊)

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