ジャンボタニシ大発生、水田に食害広がる 暖冬で生き残り? 生息面積、昨年度の3倍に

大発生しているジャンボタニシ。水路の壁(写真右上)に付いているピンク色の塊が卵=亀岡市保津町

 京都府亀岡市内の水田でジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)による食害が広がっている。寒さに弱く多くは越冬できないが、記録的な暖冬で生き残ったとみられ、生息面積は昨年度の3倍近くに拡大。被害を抑えるためには地域を挙げての防除作業が必要で、府は今冬、市内に防除の実証田を設け、農家に対策強化を求めていく。

 水田が広がる亀岡市保津町や千歳町などの川東地域。田植え直後に苗を食い荒らされたため、稲穂の無い場所が田のあちこちに点在する。水路をのぞくと約2~5センチのジャンボタニシが無数に確認できた。水路壁には200~300個の小さな卵が固まったピンク色の卵塊がへばりつく。

 農事組合法人ほづの伊津哲理事(61)は「最優先の課題になっている。水位管理や、殺貝効果のある肥料の石灰窒素散布など、費用対効果を見ながら対応したい」と話す。

 府農産課によると、ジャンボタニシは1985年に府内で初確認され徐々に拡大し、府内の北限は南丹市八木町。亀岡市の生息面積は10~50ヘクタールで推移してきたが、2016年度以降増え、本年度は前年度の3倍近い288ヘクタールにまで急拡大した。府全体でもピーク時892ヘクタール(11年度)を上回る勢いで広がっているという。

 防ぐには、苗がある程度育つまで水を浅く張ることや石灰窒素の散布、用水路からの流入を防ぐための網設置などの方法が一定確立されている。ただ、水田単独では効果が小さく、地域全体の取り組みが必要とされる。

 9日の市議会一般質問でも質問が相次いだ。桂川孝裕市長は「駆除薬剤の活用は環境影響もあるので、適正な形で対策できる方法を検討していきたい」と答弁した。
 

ジャンボタニシの食害に遭った亀岡市保津町の水田

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