「祈り」長崎で先行上映会 原爆と信仰描く 松村監督「拍手うれしかった」

映画に出演した永井徳三郎さん(左)と製作中の思い出を話す松村監督=長崎市、長崎原爆資料館

 昭和30年代の長崎を舞台に、長崎原爆による被爆とカトリックの信仰について描いた映画「祈り-幻に長崎を想う刻(とき)-」の先行上映会が21日、長崎市平野町の長崎原爆資料館ホールで開かれ、県内の製作関係者ら約300人が観賞。トークイベントもあり、松村克弥監督(57)は「上映が終わり会場に拍手が響くのを聞いて本当にうれしかった。長崎の方々の多大な協力で、こうした場を迎えることができた」と語った。
 長崎市出身の劇作家、故田中千禾夫(ちかお)さん(1905~95年)の戯曲「マリアの首」が原作で、映画化は初。原爆で壊滅的被害を受けた旧浦上天主堂の取り壊しに伴い、撤去の動きがある被爆マリア像を守ろうとするカトリック信者の女性、鹿(高島礼子さん)と忍(黒谷友香さん)の生きざまなどを描いている。
 トークイベントでは同作で被爆者の救護に当たる永井隆博士役を演じた博士の孫、永井隆記念館館長(同市)の永井徳三郎さん(54)も登壇。「泥くさい人間的な部分と原爆の重いテーマがうまくまとめられていた」と感想を述べた。また取材に対し「出演を通じて被爆当時の光景や祖父の思いが脳裏に浮かんできた」と撮影を振り返った。
 「祈り」は来年8月、長崎で先行公開後、全国公開される予定。

映画「祈り―幻に長崎を想う刻―」のワンシーン

© 株式会社長崎新聞社