生き抜く防災教育を 横浜で震災対策技術展

 今年で20回目となる「震災対策技術展」が4日、横浜・みなとみらい21(MM21)地区のパシフィコ横浜で始まった。節目を記念したシンポジウムでは、地震や防災の専門家が「巨大災害への備え」をテーマに討論。東日本大震災や阪神大震災の教訓から「事前対策や防災教育」を生き抜くための鍵に挙げた。

 シンポでは、東大地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授が地震学の課題や予測の限界を説明。「(東日本大震災の巨大地震が起きた)日本海溝と同じことが南海トラフで起きると考えるのは、もはや想定内のことだ。それ以上の想定外に備えるべきではないか」と問題提起した。

 ひょうご震災記念21世紀研究機構の室崎益輝副理事長は「首都直下地震の火災をバケツリレーや感震ブレーカーで防ごうとするのではなく、もっと大きな技術やまちづくりで事前の出火防止策を講じるべきだ」と対策の課題を指摘した。

 「防災対策をコスト(費用)ではなく、バリュー(価値)と捉えるべきだ」と発想の転換を説いたのは、日本地震工学会会長の目黒公郎・東大教授。「首都直下や南海トラフの地震は起こってからの対応では難しい。発生するまでの時間を有効に活用して被害を減らせるようにしなければ」と強調した。

 同展は5日まで。展示会場では、耐震工法や室内の安全確保策、津波シェルター、豪雨対策などの技術やシステムを紹介している。非常食の試食や災害対応ロボットの実演、各種セミナーもある。入場無料。

© 株式会社神奈川新聞社