いかめし女性トップは二刀流!もう一つの顔はリポーター!?

けいナビ

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今回のテーマは「いかめし」。北海道の駅弁として有名だが、「いかめし阿部商店」の3代目社長・今井麻椰さんには、もう一つの顔が。それは、バスケットボールのリポーター。プロバスケットボール・Bリーグのネット配信番組でリポーターを務め、試合会場などで有名選手を取材している。いかめし店の一人娘として育ち、父の跡継ぎとして日々奮闘している彼女に密着した。

3代目社長の今井麻椰さん

ぷっくり膨らんだ、いか2匹入りのいかめし。北海道の南に位置する森町で1941年に誕生し、駅での立ち売りや百貨店の催事で販売。全国的な知名度を誇る駅弁だ。

いかめしとともに育ったという今井社長

いかめしは、かつては取れすぎて余るほどだったイカの有効利用が始まり。現在函館ではイカの不漁が続いているが、阿部商店はそれ以前の約40年前から、原料のイカをニュージーランド産に切り替えていた。当時外国産は高価だったが、国産に比べて煮ても柔らかい点が、いかめしに向いていたのだという。

今も昔も変わらない作り方

森町のいかめしには「駅弁」としての歴史がある。そもそも駅弁は、明治時代におにぎりとたくあんを竹の皮で包み、駅で販売したのが始まりとされる。その後鉄道網の発展とともに地方にも広がり、地域の特性を生かし地元で愛される弁当に「駅弁マーク」をつける、民間の認定制度もできた。約80年前から販売したいかめしを含め、北海道では19の商品が「駅弁」と認定されている。

駅弁の認定マーク

しかし、鉄道の不振が影を落とす。駅弁を販売する森駅は、JR北海道が見直し対象としている路線の函館~長万部間にある。さらに2年前、キオスクが閉店し、駅構内の販売が途絶えた。今は駅前にある柴田商店のみで販売している。列車の高速化と駅の停車時間短縮、窓も開かなくなるなど、駅弁は度々時代の変化に翻弄されてきた。

そんな中、阿部商店では年間約6億円の売り上げのほとんどを、全国の百貨店が開く物産展などの催事が占めている。ところがコロナ禍で、3月から5月にかけて 全国ほぼすべての催事が中止に。この日は今井社長の父で会長の俊治さんとともに、社長就任のあいさつ回りを兼ねて、催事の状況を聞きに札幌の百貨店へ。催事の有無が経営を左右する阿部商店。新米社長はここで厳しい現実に直面する。

百貨店のバイヤーは「物産展は、いわゆる“3密”を大前提でやってきた商売のスタイル。心苦しいが出店する店舗数を減らさなければならず、売り上げも最大で去年の半分と見込んでいる」と話した。売り上げが半分となると、経費を差し引けば割に合わない。それでも会長は「継続させるということを優先したい。計算は後で、続けてやらせてほしい」と話し、ことし10月の催事に出店する方向で話がまとまった。しかし、コロナ禍で先行きは依然不透明だ。

経営の柱である物産展の中止が相次ぐ逆境にある

8月になり、ようやく実演販売ができる催事が動き出した。この日訪れたのは、いつもの百貨店ではなく茨城県・筑西市にある道の駅「グランテラス筑西」。去年オープンし、年間100万人が訪れる人気スポットだ。列を作っていかめしを買い求めていくのは、いかめしファンだけではない。

写真撮影に応じる今井社長
今井社長目当てに訪れるバスケファンも

社長のツイッターでの告知を見たバスケットボールファンが、いかめしを買いに来ていたのだ。中には、栃木県から自転車で1時間かけて駆け付けた客も。今井社長は「バスケきっかけでいかめしを知ってもらったり、いかめしきっかけでバスケを知ってもらったりというのが少しずつ起きているので、どんどん私中心に発信していきたい」と話す。

サインには、イカとバスケットボールのイラストが

後日、今井社長は、来年稼働予定の「いかめし阿部商店函館工場」の視察で函館に。ことし4月に業務提携した三印三浦水産と、数億円を投資してラインを新設した。

大口の原料調達先をもつ三浦水産と、いかめしのブランド力をもつ阿部商店の思惑が一致。2社の提携が実現した。冷凍いかめしやレトルトパックなど、実演販売以外のいかめしの生産を行う予定だ。

実演販売とともに、新たな柱にしたいという ※試作品

コロナ禍に、鉄道の不振。さらに職人の高齢化に伴う担い手の確保など、解決すべき課題は山積み。これからの今井社長の手腕に注目したい。
(2020年9月26日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)
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