中国の新キーワード“双循環”、その目論みとは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。9月2日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ジャーナリストの福島香織さんが中国の第14次五ヵ年計画のキーワード“双循環”について解説しました。

◆中国の新たなキーワード"双循環”とは?

中国の習近平国家主席は専門家のシンポジウムで、「世界は100年間見たことのない重大な変化を経験しており、新型コロナウイルスのパンデミックがその変化を加速させている」と指摘し、重要・中核技術のブレークスルーの速やかな実現を求めました。

また、国内市場を経済の主要な柱と位置付ける「双循環」の経済モデルを発展させる必要があると強調。「我々と連携する用意がある全ての国、地域、企業と積極的に協力すべきだ」と語りました。

中国は共産主義のため計画経済体制で、5年ごとに「五ヵ年計画」を発表しています。そして今秋開催の中央委員会総会では、次の「第14次五ヵ年計画」が発表される予定です。そのキーワードの1つが、習主席が度々口にしている「双循環」と言われているものの、福島さんは「実はまだみんなそれが何かわかっていない。いろいろな人が論じているだけ」と言います。

現状では、「国内大循環+国外循環=双循環」との説明がなされ、「国内と国外に経済の循環があり、それを合わせたもの」と見られています。しかし、習主席の説明をよくよく聞いてみると、「今、アメリカはすごい勢いでグローバルサプライチェーンから中国を排除、中国デカップリング政策をやっている。そうなると国内で循環していくしかないという発想が国内大循環じゃないかとみんなが言い始めた」と福島さん。

ただ、一方では「閉鎖的な国内循環ではない」とも言われており、人口14億人の中国国内で循環しつつ、その経済構造をレベルアップしていくと「アジア経済の一体化に進む」と話します。

◆自国主導の新たな経済圏を目論む中国

前回の第13次五ヵ年計画では、「一帯一路」が強く打ち出されていましたが、それはいわゆる中国を中心とした経済一体化政策。そのターゲットには東南&中央アジアなども含まれ、今回も「それは受け継いでいる」と福島さんは言います。

そして、第14次五ヵ年計画に「一帯一路」という言葉が盛り込まれるかは微妙なものの、「アジアを一体化することで国内を少し広げたような、でも中国主導の新しい経済圏。つまりアメリカに対抗する経済圏を作り、中国主導で経済を回していく。それが国内大循環ではないか」と勘ぐります。

さらに、「つまりは経済のブロック化」と指摘。既存のグローバル経済は西側・ドル基軸で、そこに中国は分け入ったものの、アメリカにより排除。それだけに、「自力で経済圏を作り、新しい中国主導のグローバルチェーンを再構築する。中国経済のための新たなグローバル経済体系を作るという思想がある」と福島さん。

また、そこで魅力的な経済圏を作ることで国外循環にも寄与し、「国際分業のルートが最適化する。つまり、2ブロックの経済圏ができるであろう、それが今の理解」と現状を解説。

ただそうなってくると日本は、「(アメリカと中国の)どちらの経済圏で生きていくのか」と懸念する福島さん。国内には中国市場を求める人もおり、「どっちで生きるか、今みんなが問われているし、日本政府も問われている。それは次の政権の大きなテーマでもある」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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