新幹線長崎ルート 2022年秋「長崎-武雄温泉間」暫定開業 本格開業時期は未定

暫定開業時の九州新幹線長崎ルート

 国土交通省は24日、東京都内であった与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)の会合で、九州新幹線長崎ルートの長崎-武雄温泉間が2022年秋に暫定開業する見込みであることを報告した。具体的な開業月日は、営業主体のJR九州が工事の進捗(しんちょく)や営業の準備状況を見極めて公表する。
 同区間はフル規格の新幹線を採用し、長崎から諫早、大村、嬉野などを通り武雄温泉までの延長約67キロ。総工事費は約6200億円で、土木工事がほぼ完了し全体工程の見通しが立ったため開業時期を設定した。政府・与党は申し合わせで「完成、開業時期を2022年度から可能な限り前倒しする」としていた。
 暫定開業は、武雄温泉駅のホーム対面で在来線特急に乗り換え、博多方面に向かう方式を採る。本格開業の時期は未着工区間の武雄温泉-新鳥栖の整備方式が決まっていないため未定。
 未着工区間については、国交省が佐賀県にフル規格やミニ新幹線など五つの整備方式に対応する環境影響評価(アセスメント)の実施を提案しているが、フル規格を警戒する佐賀県は提案を拒否。協議進展の見通しは立っておらず、国交省は21年度予算の概算要求にアセス実施の費用を計上しない方針。年末の予算編成にかけて事態が進展すれば予算措置する。
 PT会合では国交省が佐賀県との協議について報告。議員からは「しっかりと協議を進めてほしい」との意見があったという。新しい座長に就任した自民党細田派会長の細田博之元幹事長は会合後「協議は継続されており、待ちたい」と話した。
 概算要求で国交省は、北陸や北海道を含めた建設費として、本年度当初の804億円から増額を求める方針。増額要求は3年連続となり、北陸や長崎ルートの建設費増に対応する。具体的な金額を明示しない「事項要求」とし、最終的な金額は年末までに政府、与党で詰める。

PT会合後、報道陣の取材に応じる細田座長(左)=衆院第2議員会館

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