「交通弱者」支援 空き時間の福祉車両を無償貸与 小佐々でモデル事業開始へ

運転講習で福祉車両に乗る「こさざ・すまいる会」のメンバー=佐世保市小佐々町、市社会福祉協議会小佐々支所

 佐世保市社会福祉協議会が、空き時間の福祉車両を、ボランティア団体に無償で貸し出し、高齢者の買い物の送迎に活用してもらうモデル事業を10月から同市小佐々町で始める。車を持たない「交通弱者」の外出支援が目的。地域住民と協力しながら事業を軌道に乗せ、市内全域での導入を目指す。
 社協は市内7カ所で通所介護事業所を運営。各施設に福祉車両を配備しているが、利用者の送迎がない午前10時~午後3時の時間帯は車両がほとんど使われていない。
 社協は、公共交通が不便な同町矢岳地区周辺で、空き時間の福祉車両を活用できないか検討。同町の介護事業所にある車両(10人乗り)を、地元のボランティア団体「こさざ・すまいる会」(鴨川幸次会長)に貸し出し、地域住民の外出支援で運行してもらう事業を考案した。
 事業では、団体のメンバーが車両を運転。利用する住民を自宅まで迎えに行き、地元商店街や佐々町の大型店に運ぶ。買い物袋の持ち運びも手伝い、自宅まで送り届ける。運行は毎週水曜日。料金は1回500円で保険や運営費に充てる。燃料費は社協が負担する。
 団体は23日に講習会を開催。メンバーは自動車学校の職員から指導を受け、福祉車両を運転してコースを確認したり、介助技術を学んだりした。鴨川会長は「少子高齢化が進む地域に必要な事業となる」と語る。
 社協は来年2月ごろに事業の成果を検証。2022年度に市内全域に事業を広げたい考え。池田茂則事務局次長は「市内は斜面地が多く、高齢者や障害者らの移動手段の確保は大きな課題。今後は通院の送迎支援ができないかも検討する。地域が助け合う仕組みにしたい」と話している。

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