日本のミステリー小説の原点!妖しく怖ろしい谷崎潤一郎の犯罪小説集

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今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『谷崎潤一郎犯罪小説集』

文豪・谷崎潤一郎が書いた犯罪小説の秀作を収めた一冊。大正時代の東京を舞台に、謎めいた事件や犯罪者の心理を描きます。

谷崎潤一郎犯罪小説集
著者:谷崎潤一郎
出版社:集英社

表紙カバーの女の子、愛らしくもなまめかしい彼女が谷崎の世界へ誘う。いったいどんな物語が閉じ込められているんだろう。ドキドキしてきます。

『春琴抄』『細雪』『痴人の愛』などの作品のイメージが強い谷崎潤一郎がミステリーを書いていた。それだけで興味をかき立てられます。ミステリーの手法を駆使した作品は、日本の犯罪小説の原点といわれ、江戸川乱歩にも多大な影響を与えたそうです。

なかでも主人公が友人に誘われて殺人現場を覗き見する「白昼鬼語」は、読者を絡めとるように妖しく恐ろしい気配に満ちています。東京の或る町で或る犯罪が起こるから一緒に行ってくれないかしらん。主人公は常軌を逸した誘いに戦慄しながらも断れず、「恐るべき犯罪」をめぐる謎にのめりこんでいく……。

「柳湯の事件」「途上」「私」「白昼鬼語」の四編を収録。谷崎文学の独特の雰囲気に浸りつつ、大正時代の東京の風景と謎解きをお楽しみください。

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