【動画】五島・鬼岳 バラモン凧の目線

鬼岳の山頂付近。火口越しに、福江空港(左)や中心市街地を望む=五島市(小型無人機ドローン「空彩4号」で撮影)

 そのいかめしい名とは裏腹に、なだらかな山肌はどこか優しげな表情をしている。五島市のシンボル、鬼岳(標高315メートル)。北側に福江地区の中心市街地、南西には海を挟んで富江地区を望み、太古の昔から人々の営みを見詰めてきた。
 鬼岳は1万8千年前に活動した火山で、その溶岩が海岸線や台地を形作った。火口は馬のひづめのよう。中腹にかけて広がる草原は、数年に1度の野焼きによって美しく保たれている。春夏には鮮やかな緑色をたたえ、冬が近づくにつれて薄茶色に移り変わる。
 今も昔も、憩いの場として島民に親しまれている。北西の風が強まる春と秋に集うのは、五島伝統バラモン凧(だこ)の愛好家たち。巧みに糸を繰り、鬼と戦う武士が描かれた凧を上空100メートル近くまで揚げる。
 「周りに遮る物がない、この景色。爽快感がいいんです」。愛好家でつくる「五島ばらもん凧揚げ振興会」の川口進会長(72)は、そう魅力を語る。鬼岳火山群の溶岩台地に広がる田畑や福江空港、街並み-。ドローンが映し出す景色は、山頂よりも高く揚げられたバラモン凧の“目線”を体感させてくれた。

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