「転職をなめている」プロが斬り捨てたくなる、応募者の「バカ正直」なセリフ

コロナ禍の影響で、転職市場は求人数ダウンの応募数アップ。つまり、転職希望者側の競争が激しい時代に突入しました。そんな中、転職を成功させるには、どのような行動を取っていけばよいのでしょうか? 妥協した会社ではなく、第一希望の会社に行くため取るべき態度とは? 6度の転職を成功させ、採用者としても1万人以上の応募者をジャッジしてきた転職のプロ、早川勝さんの著書『転職の鬼100則』(明日香出版社)から抜粋して紹介します。


本命ひと筋に絞って「二股」をかけるな

面接官を務めていると、ときどき、応募者の「並行して、他社も受けています」という正直なコメントを聞くことがある。それが一般的には、当たり前のことなのかもしれない。

必ずしも第一志望の企業から内定をもらえるとは限らないのだから、滑り止めも必要だろう。それはそれでかまわない。ただはたして、あなたの将来は、本当に「滑り止めの人生」でいいのだろうか、その大事なところを問いたい。

よくよく考えると不思議なことだ。「妥協した転職」をするくらいなら、現職に留まったほうがましではないのか。なぜ、「それほど行きたくない会社」の面接を”とりあえず“受けようとするのか、私には理解不能である。

もうすでに現職を辞める時期が決まっている人や離職中の人であっても、いくら内定が出たからといって、志望度の低い企業へそそくさと「嫁入り」するのだろうか。そんな軽い気持ちで入社したところで、また辞めたくなるだけなのではないだろうか。

だったら、転職活動のはじめから終わりまで、「本命一本」に絞ったほうがいい。第二志望以下の企業は、面接に進む前に、すべて断りを入れた上で、本命の面接に臨んでほしい。

もし、他社と並行して面接を受けておいて、内定が出た後にゆっくり考えるだなんて、そんな中途半端な覚悟の候補者が面接に現れたら、私の場合、斬り捨て御免である。

百歩譲って他社が滑り止めならよしとしても、“二股、三股”の「まだ迷っています」とか「どっちにするか考え中」なんていう無礼者は、「転職をなめてるのか!」と叫びたくなる。

だから私は、面接中にそのあたりの決意を徹底追及することにしている。体裁上、「御社、ひと筋です」と嘘をつかれたとしても、ほとんどお見通しなのだが、念のため、油断させたり、矛盾を突いたりと、疑惑が晴れるまで真相を暴いていく。

あなたが本命に受かりたいと思うならば、決意を固めた上で、最終面接に臨まなければならない。そういう一本筋の通った“信じられる”人材を企業は求めているのである。

だいたいが、“二股”をかけられているのを知っていながら、「どうぞ、どうぞ」という、節操のない企業はどうかしていると思う。そういうプライドのない企業を選ぶほうも選ぶほうだ。これまたどうかしている。

「逆質問力」を発揮して、ハートを撃ち抜け

そして、面接の最後に、「何か質問はございますか?」と、面接官の私から確認することがある。すると、採用候補者からの最も多い回答というのが「特にありません」である。その意味を噛み砕くと、「すでに散々話を聞き尽くして、十分に御社のことは理解しているし、その上でこの面接に臨んでいるのだから、もはや質問などない」ということらしい……。

たしかに、ここに至るまでに、さまざまな検討を重ねて決断したのだろうから、この期に及んでさらなる質問を絞り出す必要はないのかもしれない。

しかし、面接官は単に、「あなたの疑問」を晴らしてあげるためだけに聞いているのではない、という意図を察しておくべきである。

質問しない相手に対して、面接官の私はそこに、底の浅い軽薄さ、組織に対する無関心さ、業界への研究心の薄さ、新しい仕事に臨む熱意の低さ、面接官の期待を裏切る感受性のなさなどが垣間見え、一気に評価を下げたくなる瞬間でもある。

それこそ、どうしても入社したい会社であって、本当に好きで好きでたまらない組織であるなら、質問は永遠に尽きないはずである。貪欲にあれもこれも知りたくならなければおかしいではないか。それが普通である。企業側もそんな情熱的な人材を採りたいのだ。

一方で、福利厚生面の確認やホームページに記載されているような低レベルな質問が飛び出してくることもある。何かしら質問しなければいけないと焦って、つい口に出してしまうのかもしれない。そういう意味では、「質問すること」を意識している分だけ、何も質問しない人よりは”まし“であるともいえる。

どちらにせよ、質問を舐めてかかってはいけない。「質問のための質問」だと面接官に感じさせてしまったらマイナスだ。この場面は、面接のクライマックスシーンである。面接官を唸らせる気の利いた質問の二つや三つは、用意周到に考えておかなければならない。

最もさすがだなと思える質問は、面接中のやりとりから「新たに導き出された疑問」である。そこに、あなたの踏み込んだ意見が添えられていたなら評価はググッと上がる。

これこそが、コミュニケーション力の真髄だ。ありきたりの定番な質問では、情熱はアピールできない。あなたの“逆質問力”を大いに発揮して、面接官のハートを撃ち抜こうではないか!

早川勝 著(明日香出版社)

[(https://amzn.to/2HzkcrX)

© 株式会社マネーフォワード