9月日銀短観 長崎県内 3月水準に近づく 1年9カ月ぶり改善

 日銀長崎支店が1日発表した9月の長崎県内企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス24となり、新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く出ていた前回の6月調査を7ポイント上回った。2018年12月以来、1年9カ月ぶりの改善で、20年3月の水準(マイナス16)に近づいた。ただ、今年12月の予測は再び12ポイント下がるマイナス36で、県内企業は慎重な見方を示している。
 調査は136社(製造業44、非製造業92)を対象に、8月27日~9月末に実施。全社が回答した。
 業種別で見ると、非製造業がマイナス22で、前回比で9ポイント改善した。小売業はマイナス6。巣ごもり消費や衛生用品の需要が伸びて同18ポイント上昇した。観光客が少しずつ回復し、宿泊・飲食サービスは同11ポイント戻してマイナス89、対個人サービスも同25ポイント改善しマイナス50だった。製造業はマイナス29で同2ポイント戻した。金属製品や生産用機械が回復したが、その他の動きは鈍かった。
 ただ、今回改善している業種のほとんどが先行きは悪化を予想。資金繰りを「楽である」と回答した企業割合から「苦しい」とした割合を引いた資金繰りDIはマイナス4で、改善はしているものの全国の5を下回っている。
 下田尚人支店長は「改善は小幅、コロナで先行きは依然不透明で、企業は慎重な見方を続けている。今後はゆっくりと改善していくとみているが、実体経済にどう影響していくか注視していく」とした。
 また、この日誕生した十八親和銀行については「ふくおかフィナンシャルグループの広域ネットワークを活用した質の高いサービスが提供され、地域経済全体が底上げされることを期待している」と話した。

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