「安心できる施設に」 芹が谷やまゆり園が着工

工事が始まった芹が谷やまゆり園の建設予定地=2日午前、横浜市港南区

 入所者ら45人が殺傷された県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」の再建に伴い、新設する「芹が谷やまゆり園」の建設工事が2日、横浜市港南区芹が谷の建設予定地で始まった。工事完了は来年9月の予定で、同12月ごろの開所を目指している。

 約1万1400平方メートルの敷地内に、木造平屋と同2階建ての居住棟、日中活動や相談支援などの機能を備えた鉄骨2階建てのセンター1棟を新築する。定員は2棟合計で66人。

 2日は午前9時すぎから、工事車両が作業用の鉄板を運搬した。工事を見守った県障害サービス課の担当者は「新しい施設に移って良かったと思ってもらえるような、安心して生活できる施設にしたい」と話した。

 津久井やまゆり園の再建では、従来の相模原市緑区千木良に「津久井やまゆり園」、仮移転先がある横浜市港南区芹が谷に「芹が谷やまゆり園」の2施設を新たに整備。県は入所者がどこに住みたいかの希望確認を進めている。相模原の予定地では、今年1月に工事が始まっていた。

◆10人程度、地域生活に移行
 県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」利用者を対象に県が進めている意思決定支援の取り組み状況について、8月末現在で10人程度がグループホームなどの地域生活に移行したことが分かった。

 2日の県議会ともに生きる社会かながわ推進特別委員会での報告によると、県は2017年12月以降、利用者119人を対象に相談支援専門員や支援担当職員らのチームで意思決定支援に取り組んでいる。担当者会議や利用者の体験・見学などを実施。今後は仮入所先からやまゆり園の新園舎への移転などを含め、新たな生活の場の方向性を取りまとめる予定だ。

 同施設で入所者ら45人が殺傷された事件を受け、県は利用者が望む暮らしや支援について「より丁寧に時間をかけ、適切な手続きで意思決定を支援する」としている。

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