実は優しい青春ドラマ『セックス・エデュケーション』 誰もが性に悩み、小さくSOSを発信している

Netflixオリジナルシリーズ『セックス・エデュケーション』シーズン1~2:独占配信中

学園モノが大好物なら! 食わず嫌いせず観てほしい傑作ドラマシリーズ

僕はリチャード・リンクレイター監督の『バッド・チューニング』(1993年)や『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(2016年)を始めとして、『ブレックファスト・クラブ』(1985年)、『フォーチュン・クッキー』(2003年)、『アニマル・ハウス』(1978年)などなど、いわゆる学園モノが大好きです。

アメリカやイギリスでの学生生活を経験していない僕からすると、それらの映画は自分が好きなバンドや音楽はどういう生活を送っていた人たちが聴いていたのかを垣間見れるタイムカプセルのような一つの大きな楽しみであり、それが作り物であったとしても全然関係ないくらい夢中になってきました。

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環境や経験が自分のものとはあまりに遠いので、自らの学生生活と比較したり郷愁にかられる余地がなく、純粋に本人たちのやりとりも楽しめて、何気ない会話のシークエンスにたびたび心動かされてきました。

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何人かそういった映画が好きな友達は身の回りにもいるんですが、皆こぞって本作『セックス・エデュケーション』をSNSなどで紹介していたので気にはなりつつ、(毎回、改めようと思うのですが)タイトルとビジュアル的になんとなく惹かれないなと、しばらく観ていませんでした。そして今回、やっと重い腰を上げて観始めて、先述した映画たちと同じように好きだったので、ここで軽く紹介します。

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誰もが他人に理解してもらえそうにない内面を静かに閉じ込めながら、小さくSOSを発信している

主人公のオーティスはイギリスの中等教育の最終学年、つまり18歳の青年で、母親はセックス・セラピストという、セックスに問題を抱えている人たちをカウンセリングしたり治療を行う仕事をしています。その彼がひょんなことから、母親の真似事のようなセックス・セラピーを学校で行うことになるのですが、相談に乗る一人ひとりと自分が抱える問題に向き合っていくことになります。

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基本的に軽いコメディタッチでやりとりが交わされるんですが、誰もがこともなげに振る舞い日々を送りながらも、実は誰にも言えない、理解してもらえそうもない、そして変えがたい内面を静かに閉じ込めていて、それでも耐えきれず小さくSOSを発信している、ということがとても丁寧に描かれていて、素晴らしいと思いました。自分と他者をありのままに見つめるというのは本当に難しいし、本当に必要なことだというのが各話に通底している感覚としてあって、とても優しいドラマだなと思いました。

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ホームパーティでCANの「I Want More」が流れるシーンでものすごくテンションが上ってしまいましたが、ちょこちょこ出てくる音楽もとても僕の趣味に合っていました。現在シーズン2まで配信中で、今後も続くようなのでぜひ見てみてください!

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文:川辺素(ミツメ)

『セックス・エデュケーション』はNetflixで独占配信中

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