フィリーズのクレンタックGMが辞任 5年間で1度も勝ち越せず

マット・クレンタックのフィリーズGMとしてのキャリアは5年で幕を閉じることになった。フィリーズは日本時間10月4日、クレンタックがGMを「辞任」したことを発表。2015年10月のGM就任以来、レギュラーシーズンで勝ち越すこと、ポストシーズンへ進出すること、マイナー組織を充実させることなどを目指してきたが、満足のいく成果を上げることはできなかった。契約を2年残しており、事実上の解任となる。

クレンタックが行った最大の戦力補強は、なんといっても2018年オフのブライス・ハーパー獲得だ。これにはオーナーのジョン・ミドルトンの意向が強く働いたとはいえ、フィリーズはハーパー獲得のために13年3億3000万ドルという巨額の契約を用意した。

また、同年オフにはマーリンズとのトレードでJ・T・リアルミュートの獲得にも成功。しかし、このトレードには球界トップクラスの有望株だったシクスト・サンチェスを放出するという痛みも伴った。また、新型コロナウイルスの影響で3月中旬から約4ヶ月にわたって球界の動きが止まったため、リアルミュートとの契約延長は実現しておらず、今オフ他球団へ流出してしまう可能性もある。

クレンタックのGM就任から3年連続で負け越したフィリーズは、ハーパーやリアルミュートが加入した2019年も勝率5割が精一杯。今季は最終8試合で1勝7敗と急失速し、またしてもポストシーズン進出を逃した。結局、クレンタック政権の5年間では2019年の勝率5割が最高成績だった。

ミドルトンは公式声明のなかで「私はこれまでにも勝つことが重要だということを公言してきた。これはフィラデルフィアに限った話ではなく、すべての都市、すべてのスポーツにおいて同様だ。マットは我々の球団組織に多大な貢献をしてくれたが、10月に野球をするという目標を達成することはできなかった。その結果、野球部門に新たなリーダーが必要だということで意見が一致した」と述べた。新たなGMが決定するまでのあいだ、クレンタックの右腕的存在だったネッド・ライスが暫定GMを務めることが発表されている。

コロナ禍が続くなか、新たなGMの決定までにどれくらいの時間を要するか見通しは立っていない。フィリーズは喫緊の課題であるリアルミュートの複数年契約について、暫定GMのライスを中心に臨むことになりそうだ。

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