小田原市桑原の水田の上に太陽光発電パネルを設置したソーラーシェアリング(営農型太陽光発電所)で3日、米の刈り取りが行われた。3年目にして実質的に初めての収穫に関係者も「ソーラーシェアリングで米が収穫できることが証明できてほっとした」と話した。
同施設は合同会社「小田原かなごてファーム」が12アールほどの休耕田に約200枚のパネルを設置して2018年3月に完成させた。水田に設置したのは県内初で、現在でも唯一という。
日照不足を懸念する声もあった中、1年目は無事に生育し、収穫を待つばかりだったが、同年9月末の台風で設備が倒壊。解体作業のために収穫は諦めざるを得なかった。設備は補強などを施して19年5月に再建。再び米作りに取り組んだが、2年目は生育が不十分で、思った収穫量が得られなかった。
満を持した3年目。稲は順調に生育し、9月には黄金色の稲穂がパネルの下で豊かに揺れた。この日の収穫ではボランティアら約20人が参加し、コンバインで収穫した後、残りの稲を鎌で丁寧に刈っていった。
収穫は240キロほどで、全量を井上酒造(大井町)で酒にして販売する予定。同社の小山田大和代表社員は「遊休地をよみがえらせて、6次産業化で価値を上げたい。その一歩となれば」と意気込んでいた。