SBK第7戦:レース2でレディングが優勝、レイは4位フィニッシュ。チャンピオンシップのゆくえは最終戦へ

 SBK第7戦フランスラウンドがフランスのマニクール・サーキットで行われ、レース1とスーパーポール・レースでジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が、レース2でスコット・レディング(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝を飾り、2020年シーズンのタイトル争いは最終戦に持ち越された。

■レース1:レイが今季10勝目を飾る

 レース1は気温12度、路面温度14度と低めの気温のなか、ウエットコンディションで行われた。スタート直後、1コーナーでポールポジションスタートのユージン・ラバティ(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)と2番グリッドスタートのトム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が接触。BMWモトラッド・ワールドSBKチームのふたりはフロントロウスタートだったものの、ともにクラッシュし、リタイアとなった。

 オープニングラップをトップで終えたのは3番グリッドスタートのジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)。2番手はギャレット・ガーロフ(GRTヤマハ・ワールドSBK)だったが、ロリス・バズ(テンケイト・レーシング・ヤマハ)がオーバーテイク。序盤はレイがレースをリードし、その後ろをバズ、ガーロフが追う展開。ガーロフから約1秒後方にはアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)がつける。

 トップの3台がワンパックとなって周回を重ねるなか、6周目にはロウズがファステストラップをマーク。3番手のガーロフを追う。そんななか、7周目の7コーナーでガーロフが転倒。ロウズが3番手に浮上する。ガーロフはその後、メディカルセンターに運ばれた。

 レース中盤の13周目を迎えても、レイのトップとバズの2番手は変わらない。3番手のロウズはトップ2台に差を広げられ、優勝争いはレイとバズに絞られた。レイとバズの差は0.3秒から0.2秒付近で推移。11周目には、バズがファステストラップを記録、その翌周にはレイがファステストラップをマークする。

 レイを追っていたバズだったが、13周目から次第にレイから遅れ始める。レイはバズとの差を広げ、終盤に入って2秒以上のアドバンテージを築くことに成功した。

 終盤に激しいポジション争いを展開したのは、トプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハ・ワールドSBKオフィシャルチーム)、レオン・ハスラム(チームHRC)、スコット・レディング(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)による5番手争い。ラズガットリオグルとハスラムにレディングが加わって、三つどもえのポジション争いとなった。

 レイはそのままポジションをキープし、トップでチェッカーを受けた。バズは2位フィニッシュ。母国グランプリで表彰台に立った。3位にはロウズが入り、カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKがふたりそろって表彰台を獲得した。

 4位はチャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)。そして終盤まで続いた激しい5位争い。残り2周でハスラムが5番手に浮上したが、最終ラップでラズガットリオグルがハスラムをオーバーテイク。しかし、ハスラムが12コーナーでラズガットリオグルの前に出た瞬間、ハイサイドを喫する。コースを横断するハスラムのマシンとの接触を避けるために減速したラズガットリオグルの横を、レディングが通過。最終的にレディングが5位でフィニッシュとなった。

 チームHRCのアルバロ・バウティスタは12位。高橋巧(MIEレーシング・ホンダ・チーム)は17位フィニッシュだった。

■レース2でレディングが勝利。タイトル争いに望みをつなぐ

 日曜日午前中に行われたスーパーポール・レースは気温11度、路面温度11度のウエットコンディション。スタートからレイ、ロウズのカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKのふたりがレースをけん引。3番手にマイケル・ファン・デル・マーク(パタ・ヤマハ・ワールドSBKオフィシャルチーム)がつける。

 レイはリードを守り切り、トップでチェッカー。ロウズは2位でフィニッシュした。最後までファン・デル・マークとレディングによって3位争いが展開されたが、ファン・デル・マークが0.142秒差で制して3位。レディングは4位だった。

 スーパーポール・レースを終えて、チャンピオンシップのポイントランキングでトップのレイが327ポイント。ランキング2番手につけるレディングが256ポイント。レース2でレイが3位までの順位でフィニッシュすれば、レディングが優勝したとしても62ポイント以上の差をつけることになる。レディングが優勝してレイが3位フィニッシュの場合、ふたりのポイントは並ぶが、勝利数でレイの2020年シーズンタイトルが決まる。

 レース2も午前中からあまり気温が上がらず、気温13度、路面温度15度。フランスラウンドの3レースはウエットコンディションで行われた。スーパーポール・レースの結果により、ポールポジションにレイ、2番グリッドにロウズ、3番グリッドにマイケル・ファン・デル・マーク(パタ・ヤマハ・ワールドSBKオフィシャルチーム)がフロントロウに並んだ。

 ホールショットを奪ったのはレイ。レイの後ろにはロウズ、ファン・デル・マーク、レディングが続いていたが、レディングはオープニングラップでファン・デル・マークをオーバーテイク。3番手に浮上する。ファン・デル・マークはマイケル・ルーベン・リナルディ(チーム・ゴーイレブン)にも交わされ、5番手に後退となった。

 3番手に浮上したレディングは、2周目の1コーナーでロウズをオーバーテイクして2番手につける。チャンピオンシップに望みをつなぐため、レイの前でフィニッシュし、優勝がほしいレディング。トップを走るレイを猛追する。ロウズはリナルディ、バズ、さらにはデイビスにオーバーテイクを許し、6番手に後退。その間にもレイとレディングは3番手以下との差を広げていく。

 4周目、レディングがレイをオーバーテイク。ペースはレディングの方が速く、少しずつレディングはレイとの差を広げていく。2番手のレイの後方には、リナルディをオーバーテイクして3番手に浮上したバズが迫る。

 10周目にはトップのレディングと2番手のレイとの差は1秒以上に開いた。その一方、レイと3番手のバズとの差はほぼなくなり、12周目、ついにバズがレイをオーバーテイク。さらに、レイの後方にはデイビズが迫る。

 1.5秒以上あったレイとデイビスの差は、13周目には1秒を切るまでになった。そして14周目、6コーナーの進入前でデイビスがレイに並ぶと、イン側に位置を取ったデイビスがレイをオーバーテイク。レイは4番手に後退し、デイビスが3番手に浮上する。トップは依然として、レイとチャンピオンを争うレディングだ。

 レディングはそのままトップを守り切り、2020年シーズン5勝目となる優勝を飾った。2位はバズ。母国グランプリでレース1に続く2度の表彰台を獲得した。残り3周あたりからレイがデイビスの背に迫ったが、最終的にはデイビスが3位を守ってフィニッシュ。レイは4位でレースを終えた。

 この結果により、チャンピオンシップのランキングトップのレイが340ポイント、ランキング2番手のレディングが281ポイント。ふたりの差は59ポイント差となり、2020年シーズンのタイトル争いは最終戦に持ち越された。

 また、レース2ではチームHRCのハスラムが13位、バウティスタは15位でフィニッシュ。高橋は18位だった。

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)では、大久保光(Dynavolt Honda)がレース1でマシントラブルによりリタイア。レース2では9位でレースを終えた。また、フランスラウンドでヤマハがマニュファクチャラータイトルを決めた。

 スーパースポーツ世界選手権300(WSS 300)に参戦する岡谷雄太(MTM Kawasaki MOTOPORT)はレース1で6位、レース2で5位フィニッシュ。WSS 300のマニュファクチャラータイトルはカワサキが獲得した。

2020年SBK第7戦フランス ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)
2020年SBK第7戦フランス ロリス・バズ(テンケイト・レーシング・ヤマハ)
2020年SBK第7戦フランス チャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)
2020年SBK第7戦フランス レース2でスコット・レディング(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝を飾る

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