WRC:トヨタ、8年ぶり10月開催のイタリアで選手権首位を死守へ。マキネン「できるだけ多くのポイントを」

 WRC世界ラリー選手権にトヨタ・ヤリスWRCを投入して最高峰クラスに参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは、10月8~11日にイタリア・サルディニア島で行われる2020年シーズン第6戦イタリアに、セバスチャン・オジエ、エルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペラの3台体制で臨み、現在首位に立っているドライバーおよびマニュファクチャラー両選手権でのリード拡大を狙う。

 地中海に浮かぶサルディニア島が舞台となるWRCイタリアは、例年6月に開催され今季も当初のスケジュールでは同じ時期に行われる予定だった。
 
 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、同イベントは延期に。シリーズの改訂版スケジュールによって10月に改めて開催されることとなった。“ラリー・イタリア・サルディニア”が10月開催となるのは2012年以来、8年ぶりだ。

 ラリーの拠点、サービスパークが置かれるのは島北部のアルゲーロ。ステージは同じく北部に展開するグラベル(未舗装路)だ。ステージの道幅は狭く、路面の多くは砂上のグラベルで覆われているのがラリー・イタリアの特徴のひとつ。そのため出走順の早いドライバーは“掃除役”を強いられ不利な条件での戦いとなる。

 ステージは中高速コーナーが多いものの、平均速度は比較的低い。その一方で道のすぐ脇に木々や岩が点在するため、少しのミスが命取りに。各ドライバーは正確なラインどりが求められる。

 そんなWRCイタリアに臨むトヨタは、前戦トルコでエバンスが今季2勝目を飾り、オジエに代わって選手権トップに浮上。また、チームは同ラウンドでロバンペラが4位に入ったことでマニュファクチャラー選手権でも首位の座を守り、ランキング2番手につけるヒュンダイとの差を9ポイントに広げている。

「我々は両選手権ともに有利な位置につけているが、まだ何も決まってはいないので、自分たちのラリーに集中し、できるだけ多くのポイントを獲得できるように頑張らなければならない」と語るのは、トミ・マキネン代表。

「サルディニアの金曜日のステージは、エルフィンが1番手、セブが2番手とベストな出走順ではなく、今回はその出走順のまま1日を戦うことになる。しかし、今年は開催時期が10月に移ったことで雨が降る可能性もあり、それが自分たちにとっては助けとなるかもしれない」

「いずれにせよ、サルディニアで直面するであろうコンディションには自信があるし、過去このラリーで示してきたポテンシャルを最大限に発揮する準備はできている」

■勝田貴元もトヨタ・ヤリスWRCでイタリア初参戦へ

 選手権リーダーとしてイタリアに乗り込むエバンスは「前戦トルコで僕たちが獲得したような最高の結果は、次のラリーへの勢いを強める効果がある」とコメント。
 
 その一方で「選手権首位はもちろん有利な状況ではあるが、そのためにサルディニアでは路面の掃除役を担うことになる。大きなチャレンジになるだろう」と続けた。
 
 ラリーは初日の8日(木)にシェイクダウンで開幕し、翌9日(金)から競技がスタートする。
 
 このデイ1はアルゲーロの東側エリアに設定された2本のステージをサービスを挟むことなく各2回走行し、サービス後にさらに2本のSSを走行するスケジュール。10日(土)も同様のかたちで計6SSが行われ、最終日の11日(日)はサービスパークの北側で2本のステージで各2回の走行が実施される予定だ。全16本のSSの合計距離は238.84kmで、競技区間は前年よりも72km短縮されている。

 なお、このラリー・イタリア・サルディニアにはOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加する勝田貴元も出場予定。サルディニアのステージに、初めてヤリスWRCで挑む。

トヨタ・ヤリスWRC 2019年WRC第8戦イタリア
サービスを挟まずに4ステージを走る日もあり、タイヤマネジメントも重要になる。

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