2試合欠場で鷹・栗原が取り戻した「ワクワク」 変化の裏に打撃職人からのアドバイス

初回に2点タイムリーを放ったソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】

4日の日本ハム戦で13号ソロを含む2安打3打点「塁に出ようとした意識がいい結果に」

■ソフトバンク 8-4 日本ハム(4日・PayPayドーム)

ソフトバンクの栗原陵矢捕手が4日、本拠地での日本ハム戦で13号ソロを含む2安打3打点の活躍を見せた。9月26日に今季85試合目にして初のスタメン落ちを経験し2試合続けて欠場したが、スタメンに復帰してからは開幕直後のような勝負強さを取り戻しつつある。

この日の初回、2死から松田宣浩の適時二塁打で先制した直後だった。なおも2死二・三塁のチャンスで、打席に入った栗原は初球から積極的にバットを振り抜き、右翼への2点タイムリーに。さらに3回裏には日本ハムの3番手・村田からライトへの13号ソロを放ってみせた。

「初回は追加点を取れて良かったです。ホームランは本当に狙っていたわけではないですし、何とか塁に出ようとした意識がいい結果に繋がってくれたと思います」

開幕から走り続けてきたが、9月に味わった初のスタメン落ちと2試合欠場。「悔しかったですし、試合に出たいと思いました」。29日の楽天戦からスタメンに復帰すると、4日の日本ハム戦までの2カード6試合で、21打数7安打、2本塁打、8打点と再び奮起している。

「自分の実力不足で外されたわけですし、その中で広く視野を持ちながら『もう一回やってやるぞ』という気持ちになったので、いい結果になっているのはうれしいです。(スタメン復帰試合の)結果に関してはおまけかなと思いますけど、試合前にスタメンと聞いた時にすごくワクワクした気持ちがあって『よし、やってやるぞ』と自分の中でも(試合に)入り込めたかなと思います」

そのワクワクした気持ちを持続できていることが、ここ2カードの好成績にも繋がっているという栗原。開幕から6連戦が続く戦いにも「身体の疲れは、あまりわからないですけど、今年は『試合に出たい』という気持ちで始まったシーズンなので、試合に出ることが意味のあることだと思っています」と、出場への貪欲な思いが身体の疲れを上回っていることを明かした。

工藤公康監督も「自分を見つめ直す時間ができたことがいい結果に繋がったと思いますし、何よりも本人が悔しかったと思うんで、その悔しさがバネになったようにも思います」と、2試合の欠場が“いい栄養”になったと語る。

長谷川勇也からの助言「お前の場合は目付けだけだ。自分が打てるところを待っとけ」

好調だった7月は、打席の中で追い込まれても慌てることなく対応し、安打や本塁打を放ってきた。栗原は、その秘訣を「追い込まれた段階でもう1回整理して、どういうボールがあるのか、どういうボールが多いのかを頭の中に入れながら集中して打席には入れている」と語っていたが、3日と4日の適時打は初球、さらに本塁打も2球目を打ちにいっている。栗原はその変化の要因として、1人のベテラン打者の名前を挙げた。スタメンに復帰した9月29日に1軍に復帰した鷹の打撃職人・長谷川勇也だ。

「長谷川さんが(1軍に)上がってきて、いろいろと話を聞いてもらったんです。『お前の場合は目付けだけだ。自分が打てるところを待っとけ』と言われたので、自分が打てるところに来た球は初球からしっかり振りにいくようにしています。『自分が打てると思ったところをしっかりスイングしていけばいい。それが空振りになってもいいんだ』とも言ってもらいました。それはすごく大きかったですね」

初めてシーズンを通して1軍で試合に出続け、続々とキャリアハイの成績を更新している栗原は「負けられない戦いが続くので、何とかチームの勝ちに貢献していきたい」と、残りわずかになったシーズンを全力で駆け抜けていく。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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