一般的に使いづらいイメージがある2DKの間取り。最近のマンションはLDKの間取りが多く、2DKは築年数が古い賃貸アパートによくみられるタイプですが、工夫次第では快適に暮らせます。
ひとり暮らし、新婚やルームシェアのふたり暮らし、三人以上のファミリーの場合など、それぞれの生活スタイルに合ったレイアウトやインテリア選びのポイントについて紹介します。
2DKとは。1LDKや2LDKとはどう違う?
最近の住宅に多い間取りはLDKスタイルです。LDKとは「リビング」「ダイニング」「キッチン」がひとつづきの空間になっている間取り。LDKのほかに個室がいくつあるかで、1LDK、2LDKという表記になります。DKとは「ダイニング」と「キッチン」のこと。調理と食事をする空間です。2DKとは、このDKのほかにふたつの個室があるということを意味しています。
2DKの場合、キッチンのあるスペースが6畳以上10畳未満であればダイニングキッチン、10畳以上はリビングダイニングキッチンと表記され、2LDKとなります。1DKの場合は4.5畳~8畳がDK、それ以上がLDKとするのが一般的です。
築浅の物件はLDKの間取りが増えているので、2DKは築年数が古い住宅である場合が多いといえます。古いスタイルで部屋が使いづらいというイメージもあり、同じ広さの1LDKやワンルームと比べると比較的安い家賃で借りられる傾向があります。
2DKの間取りのパターン
ダイニングとキッチンがひとつになった部屋、そのほかにふた部屋あるのが2DKですが、物件によって間取りのタイプがいくつかあります。三つの部屋がどう配置されているかで部屋の使い方が異なるので、事前に間取りをチェックしておくことが必要です。
ふた部屋がダイニングキッチンに隣接している
玄関を入るとDKがあり、先に進むとそれぞれふたつの部屋に入ることができる間取り。ほぼ真四角な間取り図に、各部屋がバランスよく配置されています。2DKの中でも多くの割合を占めているのがこのタイプ。
廊下がないので、部屋の占める面積が大きく、空間を広く使えるのが特徴です。ダイニングキッチンを経由して各部屋に入れるため、ルームシェアの場合も他人の部屋を経由することなく気を使わずに使えます。
逆に、玄関にあがるとすぐにダイニングキッチンが見えてしまうので、来客などの際にも目隠しがないことが懸念点。動線を考えたときにも、各部屋からトイレやお風呂に行くときに必ずダイニングキッチンを経由しなければならないという不便さがあります。
複数人で住む場合はダイニングキッチンで自然にコミュニケーションが生まれるのでメリットにもなり、ファミリーやふたりのルームシェアにはおすすめ。廊下がなく、ダイニングキッチンを中心にした間取りは、住む人のスタイルによってメリットにもデメリットにもなります。
ダイニングキッチンと二部屋が縦に配置されている
三つの空間が縦に並んでいる形の2DKも、廊下がなく部屋の面積が広いので効率よく使えます。ダイニングキッチンとその他のふた部屋が縦に並んでいることで、奥の部屋に行くには真ん中の部屋を通らなければなりません。
真ん中の部屋の独立性が低く、窓がないことも多いので、あまり環境がいいと言えないのがこのタイプのデメリット。ファミリーやルームシェアなど、独立した部屋が必要な場合には向きません。
ひとりあるいはカップルに向いているこちらの間取り。ダイニングキッチンと一部屋をつなげてLDK風にして使ったり、すべての部屋をつなげて縦長のワンルームにしたり、空間をどう仕切るかによって自由に部屋を使える楽しみがあり、その点はメリットといえます。
玄関とDKが仕切られていて三部屋あるような配置になっている
玄関とDKの間に仕切りがあり、廊下があるタイプの間取り。廊下があることで、玄関を開けて入ってきたときにDKが丸見えにならないのがメリット。プライバシーを確保したい人にとってはうれしい間取りです。
ふた部屋が和室の場合はふすまを取り外せば簡単に部屋をつなげることができ、ゆったりとしたLDK風に。廊下部分の面積がもったいないように感じますが、実際は数㎡程度であることが多いので、それほど気にする必要はありません。
真ん中にDKがあり、ふたつの部屋が隣接していないタイプ
DKが真ん中に位置し、縦に並んでいる間取り。ダイニングキッチン以外のふた部屋が接していないのが特徴です。各部屋をそれぞれ独立した形で使うことはもちろん、ダイニングキッチンと接している方の部屋をつなげればLDK風になるので使い勝手がいいのがメリット。
ひとり暮らし、カップル、ルームシェア、ファミリー、どんなライフスタイルでも快適に過ごすことができる自由度があります。中には三部屋ともバルコニーに面している間取りも。すべての部屋に窓があれば、どのような使い方をしても快適に過ごせておすすめです。
和室があるタイプ
築年数が古い物件ではダイニングキッチン以外のふた部屋のうちひと部屋、あるいはふた部屋とも和室というパターンも。団地でよくあるのが和室があるタイプの間取りです。ローテーブルや座布団を置いた和風を楽しむのはもちろん、低めのテーブルや椅子を使って和モダンスタイルにするのもおしゃれ。
ベッド派の人も低いタイプや足のないマットレスなどを選ぶことで和室を寝室にできます。和室は使いづらいという先入観を捨てれば、自由なスタイルで工夫しながら楽しめます。
全体的なインテリアレイアウトのコツ
2DKの部屋はどのように家具をレイアウトすればいいか分からないと悩む方も多いはず。2DKはひと部屋が狭いことが多いので、広々とした印象にするためには置く家具の種類やレイアウトを工夫する必要があります。家具選びのポイントやインテリアレイアウトのコツについて紹介します。
動線の確保をする
2DKといってもさまざまな間取りがあることを紹介しましたが、間取りによって生活動線が変わってきます。とくに、食事をしたりテレビを見たりと出入りの多いダイニングキッチンの家具配置は重要です。
それぞれの部屋への出入りがしやすいか、トイレや浴室への動線をふさいでしまわないかを意識しながら家具の配置を決めましょう。朝起きてから夜寝るまでの生活をイメージし、生活しづらい場所はないか、それぞれの動作に必要なスペースが確保されているかを意識することが重要です。
部屋の広さ、形に合わせたサイズの家具を選ぶ
ダイニングキッチンとふたつの部屋がある2DKは、それぞれの部屋があまり広くないケースが多いうえ、全体でみたときに広さを感じにくいのが特徴です。少しでも開放感や広々とした空間を作りたいなら、家具は大きすぎないサイズのものを選ぶと全体のインテリアがすっきりします。
DKと続いているひと部屋をつなげてLDKにするか、ふた部屋を独立して使うか、部屋の形や使い方にもよりますが、家具の数を増やしすぎないことも重要。複数の家具を置く場合は奥行をそろえるなど、できるだけ無駄な凸凹ができないようにするのもポイントです。
テーマを決めて統一感を出す
すっきりとおしゃれな空間にしたいなら、インテリアにテーマ性を持たせることが重要。家具を購入する際は大きさや機能性はもちろん、まずはそれぞれの部屋ごと、あるいは部屋全体のテーマを決めて統一するのがおすすめです。
白やベージュを中心に木の素材感を生かした家具を取り入れればナチュラルな雰囲気に。ホワイトやグレーをベースにブラックを効かせたモノトーンスタイルや、シャープな家具を取り入れたシンプルでモダンなスタイル。木のぬくもりを感じさせつつもデザイン性のある家具を選べば北欧風に仕上がります。
さまざまなテイストのインテリアがあって迷ったときは、白やベージュをベースにするなど、色をおさえるのがおすすめ。ほかのインテリアとの相性もよく、部屋を広々と見せてくれる効果があります。テーマを決めずに色を多用すると雑多で圧迫感のある部屋になりやすいので要注意です。
大型家具は壁際に配置する
ベッドなどの大型家具は配置選びがポイント。部屋に入ったときに、見えている床の面積が多いと部屋が広く見える効果があるので、大型家具は壁際に配置するのがおすすめです。
立ったときの目線よりも背の高い家具も、圧迫感がでて部屋を狭く見せてしまうので避けたいところ。ロータイプの家具を選ぶのがおすすめですが、どうしても背の高い家具を置きたい場合はこちらも壁際に配置し、数を増やしすぎないように注意しましょう。
2DKのダイニングキッチンのレイアウトパターン
2DKの中でも中心的な存在となるのがダイニングキッチンのエリアです。調理と食事をする場所を想定してつくられたエリアを快適に使うため、どのような点に注意してレイアウトすればいいのでしょうか。
キッチンスペースは約2畳であることが多い
ダイニングキッチンの広さは、ダイニング+キッチンのスペース。たとえば「DK6畳」と記載されている部屋の場合は、キッチンスペースが約2畳、ダイニングスペースが約4畳というバランスなのが一般的です。
玄関から入ってすぐの場所にダイニングキッチンがある間取りが多いので、たった2畳とはいえキッチンも部屋全体のイメージを左右する重要なスペースです。
DK8~10畳はゆとりがあって選択幅が広がる
8~10畳ほどある広めのダイニングキッチンであれば、レイアウト方法にも選択肢が増え、ゆとりをもって家具を配置することができます。空間の使い方にもバリエーションが生まれるのでコーディネートの幅が広がります。
収納家具を置いてもダイニングスペースは確保できる
入口に近い場所にあることでコンパクトに作られていることが多いダイニング部分。限られたスペースなので収納の問題には頭を悩ませるかもしれませんが、8~10畳ほどあれば、収納家具を置く余裕もできます。
10畳のダイニングキッチンの場合、キッチンを2畳と考えると、1畳分ほどの収納家具を置いても約7畳のダイニングスペースが確保できます。スペースに余裕があるぶん、自由度が高くなりレイアウトが難しく感じるかもしれませんが、ダイニングテーブルやチェアを置くスペースは十分に確保できます。
コンパクトなソファを置いてLDK風に使える
広めのダイニングキッチンであれば、LDKのように使えます。コンパクトなソファを置いたり、ダイニングチェアをソファタイプにして、リビングを兼ねてしまうという方法もあります。
DK6~8畳ならダイニングスペースのみのレイアウトに
一般的な6畳程度のダイニングキッチンであれば、LDKとして使うことは難しいので、ダイニングスペースに限定しましょう。レイアウトにあまり自由度はありませんが、テレビ台を置いたり、壁面収納を設置するなどして場所を取らない工夫をすれば、使い勝手のいいダイニングを作れます。
ダイニングテーブルをコンパクトなものにすればスペース確保できる
ダイニングスペースが4~6畳ほどあれば、ふたり用のダイニングテーブルなどコンパクトなタイプがおすすめ。カウンターテーブルを壁につけるのも省スペースになります。無理に大きなテーブルを置くと圧迫感が出てしまい動線が確保できません。来客時など一時的に大きくできる伸縮性のあるテーブルや、折りたためるタイプなどを活用する方法もあります。
ダイニングキッチンを上手に使うレイアウト例
2DKのインテリアレイアウト。とくに迷うのがダイニングキッチンです。スペースに限りがある中、どう配置すれば窮屈にならずにおしゃれにコーディネートできるかを、実例写真を交えながら参考を紹介します。家具配置やインテリア選びのヒントにしてください。
コンパクトでおしゃれなダイニングキッチン
小ぶりなダイニングキッチンに、大きいテーブルを配置するのはNG。人数に合った数の椅子、全員が揃って食事ができる最小限のテーブルを置くのがおすすめです。小さいダイニングキッチンの中央にテーブルと椅子を置くと邪魔になりがちですが、丸いテーブルにすればスペースを最大限に有効活用でき、スムーズな動線も確保できます。
収納とダイニングテーブルを上手く配置したダイニングキッチン
スペースに限りがあると収納をどう配置するか迷うところですが、キッチンと反対側の壁一面に収納を配置し、間にダイニングテーブルを自然におさめたバランスのいい例です。それぞれの距離が近いことで調理から食事、片付けまでの一連の作業も無駄なくスムーズにできるはず。家具をホワイト&ベージュのインテリアで統一することで、風が通り抜けるような爽やかで広がりのある空間に。
場所を取らないカウンターテーブルなら作業スペースも確保
ダイニングキッチンに作業スペースがあると、家で仕事をしたり、趣味を楽しんだり、子どもの学習に使えたりと便利です。とはいえ2DKではダイニングテーブルと作業デスクを両方置くスペースはなかなか取れません。
そんなとき、奥行きが狭いカウンターテーブルであれば狭めのダイニングキッチンでもスペースを奪うことなく置けます。ダイニングテーブルの近くに配置すれば、来客が多いときはサブのテーブルとして使うことも。おしゃれで機能的なダイニングが叶います。
アイランドキッチンの場合は横並びにテーブルを置けばダイニングが広々と使える
アイランドキッチンの横にコンパクトなダイニングテーブルを並べればスペースをおさえ、動線面でもスムーズで使い勝手のいいダイニングキッチンに。調理したものをダイニングテーブルに配膳するのが楽で、片付けもスムーズな横並びスタイルは人気。広めのダイニングキッチンであればぜひ採用してみたいところです。
2DKの部屋の使い方
ダイニング以外のふたつの部屋。この部屋の使い方に自由度があるのが2DKの魅力です。生活スタイルや家族構成によって使い方は異なりますが、おすすめの使い方について紹介します。
ひとり暮らしの場合
ひとり暮らしの場合はひとりで三部屋使えることになり、レイアウトや使い方の選択肢も多く、かなり余裕があります。ひと部屋を寝室として確保したうえで、もうひと部屋を自由に使えます。広々としたスペースをライフスタイルに合わせて自分好みにカスタマイズしましょう。
趣味部屋として使う
ひとり暮らしなら、ひと部屋をまるごと趣味の部屋にするという贅沢な使い方もできます。トレーニング専用の部屋、音楽に浸る部屋、趣味で収集しているものを飾る部屋など、夢のような趣味部屋を作っている人も。ほかにも、作業台を設置したモノづくりをする部屋やプロジェクターを置いて映画鑑賞をする部屋など、自分だけの特別な部屋を作れます。
衣装部屋にしてウォークインクローゼットのようにする
2DKの部屋には大きな収納がついていることは少なく、収納スペースも限られているのが一般的です。洋服をたくさん持っている人には、部屋をまるごと衣裳部屋にするのがおすすめ。靴や小物を見せて収納したり、姿見を置いたりすれば全身コーディネートを楽しめる立派な衣裳部屋になります。
書斎、仕事部屋にする
在宅で仕事をしている人、仕事を持ち帰ることが多い人におすすめなのは書斎や仕事部屋。中にはコロナ禍でテレワークの日が増えたという人も多いはず。ひとり暮らしのワンルームや1K、1LDKの間取りでは仕事専用の部屋を作るのが意外に難しいものですが、2DKなら、仕事用として独立したひと部屋を持てます。リラックスする部屋と仕事をする部屋を分けることで生活にメリハリも生まれ、仕事もはかどるはずです。
カップルやルームシェアのふたり暮らしの場合
ひとり暮らしに比べるとカップルなどふたり暮らしの場合は、荷物や家具が多くなりがちで、生活スペースも必要になります。ふたりの生活スタイルによって、効率のいい部屋の使い方を見つけましょう。
リビングと寝室に分けて1LDK風に使う
子どもがいない夫婦や同棲カップルにおすすめなのは、ひと部屋をふたりの寝室にする使い方。間取りによってはできないこともありますが、もうひと部屋はダイニングキッチンとつなげてLDKとして使うのが便利です。ダイニングテーブルやソファなどを置くスペースもでき、リビングとして広く使えます。
それぞれの個室として使う
友達同士や兄弟などでルームシェアをするふたり暮らしの場合におすすめなのが、ふた部屋をそれぞれの個室にする使い方です。カップルでも、生活時間帯が違ったりひとりになる時間が欲しいというタイプならこの形がおすすめ。
押し入れやクローゼットがどちらか一方の部屋にしかない、窓のない部屋があるなど、ふたつを個室として使うのに向かない場合もあるので、間取りをよく見て検討しましょう。
小さい子どもがいる場合はひと部屋はリビング兼お世話スペースに
子どもがいるファミリーに2DKは狭いイメージがありますが、工夫次第で快適に暮らせます。子どもが小さくて個室が必要ないうちは、ひと部屋はリビング兼お世話スペースに。2DKによくある和室も、小さい子どもがいる家庭にとっては安全で遊びやすくて快適なキッズスペースにできます。子どもが大きくなってきたら、ひと部屋を夫婦の部屋、もうひと部屋を子ども部屋にするといった使い方も。
ひとり暮らしには広すぎる、ファミリーには狭そう……。なんとなく使いづらいイメージがある2DKですが、使い方次第ではどのような家族構成でも快適に暮らせる可能性を秘めています。ライフスタイルに合った広さや間取りを選び、インテリアやレイアウトを工夫して自由な暮らしを楽しみましょう。